アキュラの米国法人は、「2023 Tire Rack One Lap of America」というレースに参加すると発表し、同レースに参戦する車両を公開しました。レース参戦車両のなかには、“1.5台分のアキュラ「NSX」”が含まれるようです。

「1.5台のNSX」誕生?

 ホンダの高級ブランド「アキュラ」の米国法人は、Grassroots Motorsports Magazine が主催するモータースポーツ競技「2023 Tire Rack One Lap of America」への参加を発表するとともに、同レースに参戦する車両を公開しました。

 2023 Tire Rack One Lap of Americaは、2023年5月6日から13日にかけて開催される全行程3200マイル(約5149km)に及ぶ過酷なロードラリーです。

 このラリーにアキュラはNSXと「TLX」で参戦するといいます。

 TLXは、2014年に登場したミドルサイズセダンで、現在販売されるモデルは2020年に登場した2代目です。

 レースに参戦するTLXは、なかでも2021年に登場した独自のV型6気筒ターボエンジンやダブルウィッシュボーンフロントサスペンションを備えたスポーツチューンのシャシ、ブレンボ製の強力なブレーキを搭載し、走行性能を高めた「タイプS」のレースカー。同車両はパイクスピークにも参戦した車両で、今回はアキュラのエンジニア「ニック アマート」氏がハンドルを握ります。

 一方NSXは初代が1990年に登場したホンダのスーパースポーツカーで、米国ではホンダではなくアキュラブランドで発売されていました。

2015年にはフルモデルチェンジ。2代目は米国で生産され、世界に販売されていましたが、2022年11月17日にファイナルモデルとなるタイプSの最終号車がラインオフし、生産終了となりました。

 今回レースに参戦するのもこのタイプSがベースですが、ホンダが“1.5台”と説明するように、この参戦車両はNSXの後ろ半分をトレーラーに改造した「NSXトレーラー」を牽引しています。ホンダはこのNSXトレーラーについて“世界に1台しかない”と説明しています。

 タイプS自体はほぼ無改造だといいますが、ホンダの北米自動車開発センター(以下ADC)によって作成されたNSX トレーラーは、2代目NSXの初期型テスト車両を半分にカットしたスペシャル版です。搭載されるタイヤや油脂類など、物資の出し入れを容易にするために前方にドアが取り付けられています。

 また、けん引するタイプS同様のHRE社製ホイールとFalken社製高性能タイヤが取り付けられています。

 さらに、バックカメラも取り付けられており、前方のNSXに後方映像を表示します。

 この“1.5台分のNSX”のドライバーを務めるジャスティン・ボビンスキー氏は以下のようにコメントしています。

「パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター(PMC)、ADC、そしてホンダ・オブ・アメリカ・レーシング・チーム(HART)の情熱的な仲間たちは、この型破りなアイデアを実行することに何のためらいもありませんでした」