トヨタは2022年度の決算を2023年5月10日に発表しました。この発表とほぼ同タイミングで2023年5月15日付の組織改革や、将来投入される新型モデルにも言及しています。

トヨタの決算は増収減益、同時に明かされたBEV戦略とは

 2023年5月10日にトヨタが2022年度の決算を発表しました。
 
 同時に2026年に投入される次世代BEVに関連する発表も行われましたが、どのような内容なのでしょうか。

 営業収益は過去最高となる37兆1542億円でしたが、営業利益は資源価格の高騰などにより前期を2706億円下回る2兆7250億円。つまり、増収減益と言うわけです。

 この発表とほぼ同タイミングで2023年5月15日付の組織改革および幹部職の担当変更を行なうことを発表しました。その内容は下記になります。

 ・専任組織「BEVファクトリー」を新設
 ・加藤武郎氏(現・クルマ開発センター・センター長)がプレジデントに就任

 2026年に発売予定の「新世代BEV」はこのBEVファクトリーで開発が行なわれますが、それに伴ってこれまでBEV開発を担当していた「トヨタZEVファクトリー」は廃止されます。

 BEVファクトリーとトヨタZEVファクトリー、何が違うのでしょうか。

 簡単に説明すると、トヨタ内の「ベンチャー企業」のような存在と言ったらいいと思います。

 トヨタは大企業であるが故に古くからのルール/しがらみがあるのも事実で、そこから抜け出して新たな取り組みを行なうために“切り離し”が必要だと考えたわけです。

 次世代BEVは「ソフトウェアプラットフォーム」、「電子プラットフォーム」、「車台」と、全てが刷新されますが、そのコンセプトモデルを2023年秋に開催される「ジャパンモビリティショー」で公開すると公言しました。

 そのモデルは、2023年4月に行なわれた新体制方針説明会で公開されたヴィジュアルのものなのか、それとも別のモデルなのでしょうか。期待して待ちましょう。

 これとは別に、トヨタはすでに2026年までに10車種のBEVを投入する事を発表しています。

 これらの開発はBEVファクトリーではなくトヨタZEVファクトリーから移管された各車両カンパニーが担当。

 もちろん、現在発売中の「bZ4X/bZ3」、レクサス「RZ」の進化・熟成も。

 これらはBEVファクトリーに繋ぐための過渡期であるが故の対応で、どちらも“本気”で取り組んでいます。

 つまり、今のトヨタのBEV戦略は「未来の準備」と「今でできる事/やる事」を切り分けて、並行して進められているのです。

 今回公開された資料を見ると、5つのジャンルに様々なモデルが予定されていることが解ります。

 現時点でハッキリしているのは「SUV」の項目に上海モーターショーで公開された「bZスポーツ・クロスオーバー・コンセプト/bZフレックススペース・コンセプト」。

 そして、「商用車・MPV」の項目に2022年12月に行われたタイトヨタ60周年式典で公開された「ハイラックスRevo BEVコンセプト」の3台です。

 気になるのは「ラグジュアリー」の項目のステーションワゴンとセダンのシルエット、そしてスポーツの項目のクーペのシルエットでしょう。これは一体何なのでしょうか。

BEVラインナップ、26年までに登場する謎シルエットは何?

 そのヒントは2021年12月に行なわれた「BEV戦略発表会」でお披露目された16台のモデルの中にありました。

 セダンボディはレクサス「IS」の後継とウワサされる「レクサス・エレクトファイド・セダン」だと思われます。

 この際の発表では、ワゴンボディは3台ありますが、今回のSUV項目には「3列SUVなど」と記されているので、ここには「レクサス・エレクトファイドSUV」と「bZラージSUV」が入るはずなので、トヨタ「クラウンスポーツ」にソックリな「クロスオーバーEV」だと思われます。

 そして、スポーツ項目に移されたクーペのシルエットを信じれば「レクサス・エレクトリックスポーツ」で間違いないでしょう。

 ちなみに同じボディを共用するであろうGT3マシンは、富士スピードウェイでのテスト走行でその姿がスクープされています。

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 トヨタは2026年にBEVの販売を年間150万台の目標を掲げましたが、その実現のためにはこれらのモデルがキーとなります。

 グローバル量産BEV第1弾となったbZ4Xはリコールや充電問題などにより躓いてしまった感も否めませんが、クルマ屋はクルマで結果を出すしかありません。

 個人的には2代目MR2が1型→2型に改良された時のように、「えっ、こんなに違うの!?」と言った驚きの進化・熟成を期待しています。