スピード違反など交通取り締まりを行っている覆面パトカーにはどのような車種が使われているのでしょう。また一般の車両と覆面パトカーを見分ける方法はあるのでしょうか。今回は警察車両に詳しいカメラマンに見分け方を聞いてみました。

覆面パトカーにはどんな車種が使われてる?

 公道を走行していると、一般車両に紛れた覆面パトカーを目にすることがあります。

 スピード違反など交通取り締まりを行っているものもありますが、一般の車両と覆面パトカーを見分ける方法はあるのでしょうか。警察車両に詳しいカメラマンに見分け方を聞いてみました。

 覆面パトカーの正式名称は「交通取締用四輪車」。一見すると一般の車両と見分けがつかないようになっており、「捜査用」「警護用」「交通取り締まり用」などいくつか種類があります。

 今回は一般のドライバーにとっても馴染みが深い、“交通取り締まり用”の覆面パトカーについて、その特徴を警察車両に詳しいカメラマンに聞いてみました。

交通取締りを行う覆面パトカーの種類は意外と多い?

――現在運行されている、交通機動隊や警察署の交通課など“交通取り締まり”を行う覆面パトカーにはどのような車種がありますか?

「全国的に主流なのはやはりトヨタ『クラウン』で、現在は220系(15代目)と210系(14代目)が多くなっています。200系(13代目)も数を減らしつつありますが現役車もあり、さらにその前のモデルだった180系(12代目)、170系(11代目)、150系(10代目)も数は少ないですが使用している地域もあります。

 トヨタ『マークX』は、主に高速道路用として配備され、現在は最終型モデルである130系(2代目)の中期型と後期型が山梨、岐阜などで見かけられます。警視庁には中期型の+Mスーパーチャージャー仕様が交通機動隊を中心に運用中です。

 トヨタ『カムリ』は、国内では最終型モデルとなる70系(10代目)のエアロパーツ装備車が警視庁で使用中です。

 日産『セドリック』も交通覆面として多く配備されていましたが、現在は姿を見かけることはほぼなくなっており、残されている車両も取り締まりの一線には出てこなくなっています。

 日産『スカイライン』は、現行のV37型(13代目)が埼玉、香川に配備されています。前モデルのV36型(12代目)は同じく埼玉、香川で、前々モデルのV35型(11代目)は埼玉や大阪などに配備されていましたが既に引退もしくは一線を退いています。

 日産『ティアナ』は、J32型(2代目)が鳥取県警と高知県警に配備されています。初代モデルのJ31型は神奈川と香川に配備されていましたが既に引退済です。

 スバル『レガシィ』はBE型(3代目)、BL型(4代目)、BM型(5代目)の3タイプが交通覆面として配備されています。BM型の後期モデルは国費としての配備もあった都道府県での配備が多く、4WD仕様ということから積雪地で見かけることが多かったのですが、現在は一線を退きつつあります。

 スバル『WRX S4』は、高知県警と青森県警に配備されており、近年は埼玉県警にも配備され、県内の高速隊で使用中です。特に埼玉県警配備車は青色のタイプがあり、取り締まりに威力を発揮しているようです。

 ごく少数の地域に配備されているのが、スバル『インプレッサWRX STI』の交通覆面。現在は高知県警が運用中です。かつてはWRXが千葉県警に2台、WRX STIが埼玉県警に1台運用されていましたが現在は引退しています。いずれも県費で配備されていました。

 そのほかにも、ごく少数の変わり種としてはワゴンやSUVをベースにしたものもあります。例えば日産『エクストレイル』とスバル『レガシィアウトバック』の交通覆面が新潟県警に配備されています。また、大阪府警では日産『ステージア』、スバル『レガシィツーリングワゴン』が使われていました。

 さらに、警視庁の警察署交通課が運用する『ハイエース』はスピード違反以外の一時停止無視、駐車禁止、運転中の携帯電話使用違反取り締まりや、交通検問での資器材輸送など多目的に使われています」

覆面パトカーとして選ばれる選定基準とは

――前述の覆面パトカーとして採用される基準はどこにあるのでしょうか

「国費配備車の場合は、警察庁の要件があり、4ドアセダンでかつ排気量が大きいことが上げられます。クラウンの場合は、パトカー仕様グレードがあります。

 一方、都道府県費配備車は入札時の金額と仕様、地域の実情にあった車種が選ばれます」

覆面パトカーを見分けるポイントは?

――覆面パトカーと一般で販売される車両の外見上の差を教えて下さい。

「交通取り締まり用の場合、屋根に赤色灯(反転式警光灯)が出てくるための穴が開いており、ふだんは蓋で閉じられています。

 フロントのグリルやバンパーにはLEDの前面警光灯が埋め込んであり、赤色灯点灯に合わせて赤く点滅します。

 わざとグレードエンブレムを付けていないクルマも存在します。またラジオ受信用アンテナに偽装した無線アンテナを付けていますが、近年は車内に付けていることが多く外観上ではわかりにくくなっています。

 見分け方としては車種と色がわかりやすいでしょう。特に数の多いクラウンは銀、黒、白が多く、さらに日頃から点検を行い、整備も行われているので古い年式の割には見た目がきれいなクルマもあります。

 あとはメリハリのある走り方で、特にスピードの出せる道路では流れに乗ってきれいな走りをしています」

――覆面パトカーと一般で販売される車両のスペックなど、ひと目ではわからない差があれば教えて下さい。

「市販車と大きな差はありませんが、赤色灯やサイレンなどを装備していることからバッテリーが上がらないように電装系などは強化されています。

 クラウンのパトカー仕様モデルはコストダウンによりホイールなどは市販車よりも安いタイプで、座席は水に強く汚れても清掃しやすいビニール製を使用しています」

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 “交通取り締まり”を行う覆面パトカーはやはりクラウンが多いものの、意外と多くの様々な車種が使われており、ひと目ではわからない仕様となっているようです。

 このような覆面パトカーに取締りを受けないよう、高速道路などでは道路法規を守り、周囲の確認をしっかりと行うなど安全運転を心がけることが大切です。