国産車の場合、おおむね5〜6年に一度のペースでフルモデルチェンジが行われますが、その一方で10年以上もフルモデルチェンジされないクルマもあります。そんなクルマを5車種紹介します。

新型登場待ち遠しい… 次期モデルに期待の5車種は

 クルマは登場から数年経過するとモデルチェンジが行われ、時代やニーズ、ライバル車に合わせた刷新が行われます。
 
 全く新しい次期モデルへとフルモデルチェンジされる場合は、国産車ではおおむね5年から6年に1度、早いクルマだと4年ほどでフルモデルチェンジすることもあります。
 
 その一方で、改良を重ねながらも全面刷新されずにラインナップに立ち続けるクルマも存在します。

●日産「エルグランド」2010年登場・13年目

 日産の最高級ミニバンであるエルグランドは、現行モデルは3代目で2010年8月に登場しました。

「キング・オブ・ミニバン」をうたい、堂々たるデザインや走行性能はそのままに、低重心のプラットフォームを採用。従来のFR(後輪駆動)レイアウトからFF(前輪駆動)に変更されています。

 パワートレインは、2.5リッター直列4気筒エンジンに加え、最高出力280馬力・最大トルク344Nmを誇るパワフルな3.5リッターV型6気筒エンジンをラインナップし、全車CVTを組み合わせます。

 エクステリアでは、2014年にビッグマイナーチェンジを実施。大型化したフロントグリルや新デザインのヘッドライトを採用するなど、押し出し感を強調。

 2020年にも改良を実施し、さらに新しいデザインへと一新したほか、同時に先進運転支援システムも充実させ、インテリジェントクルーズコントロールやアラウンドビューモニターに加えて、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報、後側方衝突防止などが全車標準装備されました。

 現在のラインナップは、エアロパーツを装備した「ハイウェイスター」がメイングレードとなり、日産車のカスタムパーツを手掛けるNMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ)が展開する「オーテック」や、ショーファー需要に応え後席の装備や機能を充実させた4シーターモデル「VIP」も用意しています。

●トヨタ「ランドクルーザープラド」2009年登場・14年目

 日本を代表する本格的なクロスカントリー型四輪駆動車といえば「ランドクルーザー」ですが、シリーズのなかでも「ランドクルーザープラド」は人気の中心となるワゴンモデルです。

 現行モデルは2009年9月に発売された4代目。国内では従来ラインナップされていた3ドアが廃止され、5ドアのロングボディのみの展開となっています。

 堅牢なラダーフレームにボディを架装する本格的な構造で、サスペンションもフロントにダブルウイッシュボーン、リアが4リンクのリジッドアクスルを採用し、高い悪路走破性を誇ります。

 最新のモデルでは2.8リッター直列4気筒のクリーンディーゼルと2.7リッター直列4気筒ガソリン自然吸気エンジンを用意。室内は5人乗り2列シートと7人乗り3列シートを設定するなど、さまざまなニーズに対応しています。

 外観は、フロントフェイスを中心にマイナーチェンジで2度更新されているほか、環境性能や安全技術も更新されるなど、地道な改良も欠かしていません。

 先進運転支援機能「トヨタセーフティセンス」も採用され、パーキングサポートブレーキも装備するなど、デビュー13年を経過してもいまなお現役を続けています。

最長モデルは来年で20年目! どんなモデル?

 エルグランドやランドクルーザープラドよりもモデルライフが長いクルマが3車種あります。
 
 15年を超えるロングセラーモデルを見てみましょう。

●日産「GT-R」2007年登場・16年目

 GT-R(R35型)は2007年10月に登場した2ドアスポーツカーで、日本を代表するスポーツカーの1台であることは言うまでもありません。

「誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフを楽しめる」というコンセプトを提唱したR35型は生産体制も特徴的です。

 超高性能なエンジンの生産は、「匠」という称号が与えられた数名の職人の手作業によってクリーンルーム内で精緻に組み立てられ、熟練ドライバーによるエンジン・トランスミッション・ブレーキの調整を行った上で出荷されます。

 3.8リッターV型6気筒ツインターボエンジンに6速のデュアルクラッチトランスミッションと4WDシステムというパワートレインは不変ですが、2007年の登場当初は最大出力480馬力・最大トルク588Nmだったのに対し、2017年には現在の570馬力・637Nmへと年次改良を重ねるごとにアップデートされています。

 そのほか、足回りのチューニングやボディの補強など、度重なるエンジンの出力向上に対応しながらも、デイリーユースでも違和感のない上質な乗り心地を追求。

 2023年4月には最新の「2024年モデル」が発売され、年々厳格化される騒音規制に対応するためにマフラーを新開発。希少な国産スポーツとして、時代に合わせた改良が続けられています。

●三菱「デリカD:5」2007年登場・17年目

 デリカD:5はミニバンとSUVを融合させた「オールラウンドミニバン」として2007年1月に発売。

 ミニバンに必要不可欠な両側スライドドアのボディを持ちながらも、185mmの最低地上高や、多板クラッチの締結力を強めるロックモード付きパートタイム4WDを持つなどSUV並みの悪路走破性を持っています。

 2019年には大幅改良をおこない、三菱のフロントデザインコンセプト「ダイナミックシールド」を採用。インテリアデザインも一新され、全体的に旧モデルよりも高級感を向上し、迫力が増したデザインとなっています。

 ほとんどフルモデルチェンジに近い刷新を図り、これまでも搭載エンジンなどもいくどか変更を経験しているデリカD:5ですが、ベース自体は2007年の登場時とは大きく変わっておらず、三菱の主力モデルとして15年以上継続して販売されています。

●トヨタ「ハイエース」2004年登場・19年目

 ハイエースは日本初の「新分野キャブオーバーバン」をコンセプトとし、初代モデルが1967年に登場したロングセラーモデルです。

 現行型(200系)は商用バン仕様を中心にしたラインナップで2004年8月から販売開始。先代モデルと比べるとデザインは一新され、衝突安全性能の向上や環境性能の向上が図られました。

 その後18年間にわたってフルモデルチェンジをせず販売を続けていますが、フロントフェイスの変更や安全装備の充実など地道な小改良を継続中。

 現行モデルでは衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報、パーキングサポートブレーキをはじめとする「トヨタセーフティセンス」が装備されるなど、現代のクルマに求められる安全性能を持ったクルマとなっています。

 なお2019年には、海外向けの後継モデル(300系)も登場していますが、ボディサイズを大幅に拡大したこともあって日本市場への展開はされていませんが、高級ワゴン仕様のみが「グランエース」の名で2019年11月に国内導入されています。

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 さまざまな車種が展開されるなかで、発売から2〜3年程度で生産を終えてしまう車種もあります。

 一方、10年以上継続して販売されるクルマは、未だに第一線で販売できる魅力が溢れていることはもちろん、基本構造を変えなくても現在の法規に対応が可能という、ベースの性能が高いことを示しているとも捉えられます。

 そんなロングセラーモデルたちですが、かねてよりフルモデルチェンジを待ち望む声が多く聞かれるモデルも多数存在し、しばしばフルモデルチェンジがささやかれるモデルもあります。これらのクルマの次期型が果たしていつ登場するのか、大いに期待したいところです。