軽自動車のなかではスーパーハイトワゴンと呼ばれるジャンルが売れ筋となっていますが、そんななか、堅実に売れ続けているのがスズキの軽SUV「ハスラー」です。一体どのようなところが魅力なのでしょうか。

「Gクラス」や「ラングラー」っぽさを取り入れていた!?

 新車販売の4割を占めるといわれる「軽自動車」ですが、なかでもホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」といった、「軽スーパーハイトワゴン」と呼ばれるジャンルの躍進が目立ちます。
 
 ボディサイズに制限のある軽自動車では、広い室内空間やスライドドアによる乗り降りのしやすさが求められるなか、堅調な販売を見せているのが「軽SUV」のスズキ「ハスラー」です。

 2023年4月の販売実績を見ると、軽の販売ランキングで9位にランクイン(4052台)。背が高くてスライドドアを備えた軽自動車が売れ筋となっているなか、なぜ軽SUVのハスラーが支持されるのでしょうか。

 軽自動車はセカンドカーとして使われることが多いのですが、近年はファーストカーとして利用されることも増えています。

 近所への買い物といった日常使いの軽の場合、燃費や価格が重視される傾向がある一方、軽をファーストカーで使う人はスタイルを重視するとされています。

 そんななか、2014年に初代モデルがデビューしたハスラーは、人気のSUVスタイルに愛嬌のあるデザインを組み合わせて、ヒットモデルとなりました。

 2020年1月にフルモデルチェンジした2代目(現行モデル)はキープコンセプトながら、SUVのトレンドであるメルセデス・ベンツ「Gクラス」やジープ「ラングラー」のような角張ったボディとハスラーの特徴の丸目のヘッドライトを組み合わせ、カッコ良さと可愛らしさが融合したデザインに進化。

 さらに、アウトドアのアイテムやウェアを日常的に身に着けるファッションに着目し、内装にアウトドアをイメージするアイテムが取り入れられるなど、スタイルを重視したといいます。

 また、SUVということもあり、男性ユーザーが多そうに見えるハスラーですが、実は女性の購入者の割合も高く、女性の支持を獲得した要因として、豊富なボディカラーがあげられます。

 女性はクルマを選ぶときに好みの色がラインナップされているかどうかで購入する/しないを決める人もいるほど、ボディカラーを重視する傾向があるとされます。
 そのため、ハスラーはボディカラーの開発にもこだわり、黄色や水色、オレンジといったポップな色から、渋いカーキやシックなブルーなど、多彩な色をラインナップし、女性人気を獲得しているのです。

 ハスラーオーナーの声として、「見ていて出かけたくなる、笑顔になるデザイン」(20代・男性)や「生活臭があまりしないポップさがいい」(30代・男性)といったものから、「周囲に威圧感を与えない」(30代・女性)、「初心者でも高齢者でも似合いそうなデザインが素敵」(40代・女性)など、デザインに関する評価が高いのも特徴です。

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 スズキには本格軽四駆の「ジムニー」もありますが、ラダーフレームや副変速機付きの4WDなど、そこまで本気すぎる装備は必要ないと考える人にとって、適度なアウトドア感と日常での使い勝手を両立したハスラーはちょうど良いモデルとして支持されているようです。

 なお、ハスラーは後席を前に倒すことで、荷室とつなげてフラットなスペースが生まれ、さらに助手席も含めてフルフラットにすることも可能。車中泊ユーザーにも配慮して設計されているのも、多くのユーザーに受け入れられるポイントのひとつでしょう。