トヨタ「プロボックス」は、しばしば「公道最速」などといわれることがあります。商用バンなのに、なぜ速いというイメージがあるのでしょうか。

「公道最速」のイメージはホント? 実際はどう?

 街で見かけるクルマは乗用車だけでなく、商用車も数多く走っています。
 
 商用車のなかでもトヨタ「ハイエース」はビジネスでも個人ユースでも人気があるワンボックスバンタイプの代表格ですが、一方で背が低いライトバンタイプのトヨタ「プロボックス」も支持されています。

 2002年の登場以来、改良を重ねながら20年以上にわたって支持され続けている商用ライトバンのプロボックス。

 かつては兄弟車の「サクシード」もラインナップされていましたが、現在はプロボックスへ統合される一方、マツダへも「ファミリアバン」としてOEM供給されるなど、街で見かける機会も多いクルマです。

 そんなプロボックスですが、しばしば「公道最速」などと揶揄されることがあります。得意先へ急ぐ営業マンの仕事を支える商用バンの速さの秘訣はどこにあるのでしょうか。

 プロボックスが高速道路を安心して疾走できる理由として、車重の軽さによるフットワークの良さが挙げられます。

 現行プロボックスには1.3リッター/1.5リッターの各ガソリンエンジンに加え、1.5リッターのハイブリッドが設定されています。そして、車両重量はガソリン車が1090kg、ハイブリッド車が1160kgという無駄を排した軽量なボディとしていることが速さにつながっているのです。

 また、耐久性や強度を優先したボディ構造になっているほか、重い荷物を載せることを踏まえて高性能なサスペンションを採用。

 積載量にかかわらず、正確な操舵性と車両安定性が実現できるように設計されているうえに、路面の振動を抑えるつくりになっていて、乗り心地の良さも特徴です。

 なお、長時間の運転でも体への負担を抑えるため、フロントシートの形状が配慮されていることも特筆される点でしょう。

 荷物の最大積載量(2名乗車時)は400kg。A4のコピー用紙箱(22cm×31cm×24.5cm)なら最大で89個も積載することができるといいます。

 重い荷物を載せても走れるように、ATのセッティングは乗用タイプよりも低めのギア比が採用されており、エンジンのトルクがシッカリ出る回転数で使えるようなセッティングともいえます。

 プロボックスには「営業マンがノルマや納期を気にして爆走している」というイメージがあるかもしれませんが、軽量化やしっかりとしたボディ剛性などのおかげで安心して機敏に走ることができるようです。

 走行性能のみならず、装備面においても営業マンを支えるさまざまな工夫が見て取れます。

 たとえばインパネにはノートパソコンなどが置ける引き出し式テーブルが備わっており、これは車内で食事をとるときにも重宝します。

 小物置きとドリンクフォルダーを兼ね備えたセンタートレイは、ふたを開けると1リッターの紙パックを収納することも可能。

 ほかにも、大きな書類を収納できるグローブボックスやハンドルの左奥にはスマートフォンやメモ帳などを挟めるホルダーが設置されているなど、営業車として使えるアイデア装備が充実しています。

 そんなプロボックスの燃費(WLTCモード)は、ハイブリッド車が22.6km/L、ガソリン車が17.2km/L(1.5リッター)と低燃費。価格(消費税込)は149万1000円から201万4000円と、コストパフォーマンスに優れていることも魅力でしょう。

 4ナンバーサイズで狭い道での取り回しの良さも大きなメリット。ビジネスの「道具」として、プロボックスは非常に使い勝手に優れたモデルだといえます。