1990年代を代表する国産スポーツカーとして知られる日産「スカイライン GT-R」のなかでも、「R33」は比較的目立たない存在と言われてきました。しかし、そんなR33にも再評価の流れがやってきているようです。

「不人気車」と呼ばれたR33にも再評価の流れが!

 日産「スカイラインGT-R」は、日本を代表する名車として海外からの評価も高い1台です。
 
 なかでも、「R33」は比較的目立たない存在と言われてきました。しかし、そんなR33にも再評価の流れがやってきているようです。

 スカイラインGT-Rシリーズのなかでも、最終型にあたる「R34」は、映画「ワイルド・スピード」で主役級の活躍を見せたこともあって特に高い人気を誇っています。

 2023年5月には、作中で実際に使用された個体が海外のオークションで2億円近い値を付けるなど、その勢いはとどまることを知りません。

 一方、歴代のスカイライン GT-Rのなかでも、比較的目立たない存在となっているのが1995年から1998年にかけて販売されていたR33です。

 いわゆる「第2世代」と呼ばれるスカイラインGT-Rは、1989年に登場したR32からその系譜がはじまります。

 専用設計された「RB26DETT」エンジンに加え、「アテーサ E-TS」や「スーパーハイキャス」といった最新の技術を惜しみなく投入したR32は、国内外のモータースポーツで圧倒的な成績を収めたこともあり、またたく間に大ヒットモデルとなりました。

 そのR32の数少ない弱点として指摘されていたのが居住性でした。

 可能な限り無駄を削ぎ落としたという意味でやむを得ない部分ではありましたが、多くのクルマが大型化していくなかで、スカイラインGT-Rにも一定の居住性が求められるようになりました。

 そして登場したR33は、R32に対して全長が+125mm、全幅が+25mm、全高が+20mmとなり、さらに、ボディサイズの拡大に合わせてエクステリアデザインもより筋肉質なものへと生まれ変わったのです。

 しかし、一部のユーザーからは、スカイライン GT-Rのこうした変化が不必要な肥大化と映ってしまいました。

 実際には、「マイナス21秒ロマン」というキャッチコピーのとおり、ニュルブルクリンク北コースでのラップタイムはR32に対して21秒も短縮されており、パフォーマンス面でも大きく進化しています。

 にもかかわらず、R33の販売台数はR32の3分の1程度にとどまってしまっていることから、R33は不人気車のレッテルを貼られてしまうこともめずらしくありませんでした。

 一方、そんなR33にも再評価の流れがやってきています。

 大型化したボディは剛性が高く、1000馬力を超えるようなチューニングにも対応することが可能なうえ、その特徴的なエクステリアデザインも、その後のR34や「GT-R(R35)」の源流となるものとして見直されつつあります。

 また、いわゆる「25年ルール」によって、日本国内仕様のままでもアメリカの公道を比較的容易に走行することができるようになったことも、R33が再評価されるようになった理由のひとつです。

 実際、アメリカ・ミネソタ州にある日本車専門店「Nen-Tek Garage」では、1台のR33が7万4950ドル(約1050万円)という価格で販売されています。

 1995年式の「Vスペック」というこの個体は、走行距離は不明ではあるものの、ホワイトのボディにはセラミックコーティングが施されており、非常に良いコンディションを保っています。

 この個体は「Nen-Tek Garage」のオーナーによって2021年に日本から輸入され、ホイールやラジエター、マフラー、オーディオなどをカスタム。

 ただ、カスタムは最小限にとどめられており、将来のオーナーが自身の好みを反映させる余地を残しているといいます。

 最低でも数千万円は下らないR34と比べると、R33の相場は比較的落ち着いていると言えます。

 ただ、今後はその生産台数の少なさもあいまって、状態の良い個体はさらに手が届かなくなることは必至です。

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 絶版となったクルマは、需要に対して供給が増える見込みがないことから、今後相場が下落することはほとんどないと言われています。