スズキの軽乗用車「アルト」のなかでも特に女性から支持される「アルト ラパン」にはどういった特徴があるのでしょうか。

「ラパン」はカワイイだけが魅力じゃない!

 コンパクトなボディや維持費の安さなどから軽自動車は新車販売台数の4割近くを占めていますが、なかでも近年は可愛らしいデザインなどを採用するモデルも多く登場しています。
 
 そのひとつである、スズキ「ラパン(アルト ラパン)」は女性をメインターゲットとして捉えているようですが、どのような点が特徴なのでしょうか。

 現在、シックで可愛らしいデザインを持つ軽乗用車は、ラパンのほかに、2018年に登場したダイハツ「ミラ トコット」があります。

 さらに、両側スライドドアや高い全長を持つ軽スーパーハイトワゴンでは、同じスズキでは「ワゴンR スマイル」やダイハツ「ムーヴキャンバス」もあることから、こういった軽乗用車のニーズが多いということがわかります。

 そのなかでも特に女性から根強い支持を受け続けているモデルがラパンです。

 2002年1月に登場した初代ラパンはベーシック軽自動車「アルト」の派生車で、個性的な箱型のボディに親しみやすい形状のパーツを配し、さらにボディカラーは12色・内装色は2色を設定。

 エクステリアやインテリアをこだわる一方で、四角いボディがもたらす開放的な室内空間や乗り心地にこだわったサスペンション、遮音・吸音材を使い静粛性を高めるなど、快適性も重視していることが特徴です。

 登場当初は「高感度な若者にマッチするファッショナブルな仕様」として、特に女性をターゲットとしてはいなかったようですが、2007年の改良ではグレードごとにインパネやシート表皮を変更し、ベージュ×ブラウンの花柄シートや白色基調のインパネを一部グレードに設定するなど、女性をターゲットとする方針へと転換しています。

 現行モデルは3代目で2015年6月に登場。

 歴代モデルが継続して女性人気を集めていたこともあり、3代目ではさらに女性がクルマに求めるものの調査や分析を行い、企画から開発、デザイン、機能・装備、アクセサリー設定にいたるまで女性視点をふんだんに盛り込んだと言います。

 ボディは従来の箱型ボディを踏襲しつつ、ヘッドライトやドアミラー、テールライトに丸デザインを用いることで、角が取れてぬくもりを感じさせる「まる しかくい」プロポーションを採用しました。

 インテリアも「わたしの部屋」をコンセプトに、テーブルやソファなど部屋をモチーフとしたデザインテーマを採用し、内装色にはグレードによりベージュやキャメル、ブラウンを設定するなどシックなものとしています。

 ちなみに、ラパンとはフランス語で「ウサギ」を意味しており、内外装のさまざまなところにウサギのモチーフを採用していることも特徴のひとつ。すぐに目につくところに配置されておりものもあれば、隠れたところに配置されたものもあり、そういった遊び心にあふれた演出も楽しめます。

 さらに、肌や髪に優しいとされる「ナノイー」搭載エアコンや紫外線と赤外線をカット機能付きのガラスをフロントドアに採用するなど、デザインだけではなく、快適性を高める機能も多く設定しています。

 加えて、レーダーブレーキサポートや誤発進抑制機能などの先進運転支援システムを採用するなど安全面も強化しました。

 さらに、2022年6月には新たに「ラパン LC」が登場。

 ヘッドライトやフロントグリル、リアゲートに専用メッキガーニッシュを施し、ブラウン基調のレザー調×ファブリックシート表皮や専用色の本革巻きステアリングを装備することで、落ち着きとレトロ感を強めたモデルです。

 これにより、従来の「かわいい路線」なラパンと「オシャレで上質仕立て」のラパン LCの二本立てとなり、上質感を求めるユーザーにも合致させています。

 その一方で、現行モデル登場から8年が経過したことや、ベースのアルトが2021年12月にフルモデルチェンジしているほか、軽乗用車のニーズが利便性の高い軽スーパーハイトワゴンへと移行していることから、新型ラパンが登場するのか注目したいところです。