2023年7月3日から、クルマの車検ステッカーの貼り付け位置が運転席上部に変更されます。これに対して、さまざまな意見が見受けられます。

目に入るところに車検ステッカーを貼って「無車検運行」を防止

 日本でクルマを保有し、公道で運転するためには「車検」が必要です。
 
 普通車の場合、新車登録から3年、その後は2年ごとに「保安適合基準」と呼ばれる、公道を走行するうえで問題がないか審査を受けるのですが、これに合格すると「自動車検査証(通称:車検証)」が発行されます。

 運転する際は、車検証を必ず車内に積んでおかなくてはなりませんが、もうひとつ、「検査標章(通称:車検ステッカー)」をフロントガラスの見やすい位置に貼り付けることが定められています。

 道路運送車両法施行規則第37条の3において「検査標章は、自動車の前面ガラスの内側に前方から見易いように貼り付けることによつて表示するものとする」とされており、「車室内後写鏡を有する自動車はその前方の前面ガラスの上部」、前面ガラスの上部が着色されていれば「下方にずらした位置」と提示されていることから、ルームミラーのちょうど裏側のガラスに貼り付けられるのが一般的です(車検業務の実施要領を定めた通達)。

 また、最近は安全装備などのフロントカメラがルームミラー付近に装着されることもあり、助手席側に車検ステッカーを貼っているクルマも存在する状況です。

 そんななか国土交通省は、車検ステッカーの貼付位置を2023年7月から変更することを明らかにしました。

 これは、車検の有効期間が過ぎた状態で走行してしまう無車検運行を防止する狙いがあるとされており、新たな貼付位置は、運転者からもクルマの外側からも車検証の有効期間を確認できるよう、「前方かつ運転席から見やすい位置として、前面ガラスの運転席側上部で、車両中心から可能な限り遠い位置に貼り付ける」と説明しています。

 運転席の上部に車検ステッカーを貼り付けることで、ドライバーが車検の有効期間を容易に確認できる状況を作り、車検の受け忘れなどを防止することができるといいます。

 また、車外からも車内からも確認できるよう、これまで通り車検ステッカーの両面には車検の有効期限が印字されます。

 一方で、従来フロントガラスの中央上部に貼られ、ドライバーの視界に入りづらかった車検ステッカーが、今後はすぐに確認できる運転席上部に位置を変えることについて、インターネットでは賛否が見受けられました。

 反対の意見として、「視界に入るところに余計なものを置きたくない、貼りたくない」「単純に運転席側だと邪魔くさい」など、車検ステッカーが常に目に入る位置に存在することが目障りだと感じる人がいます。

 また、「見ない人は運転席側でも見ない」「ごく一部の意識の低い人のために、きちんとしている人までも変なルールに従わされることはよくありますが、納得できない気持ちになります」など、車検の期限を失念した一部の人に合わせた変更はおかしいといった意見もありました。

 一方で、直近で受けた車検時に、すでに貼付位置を運転席側に変更したという人も。

 実際の視界がどうなのか気になるところですが、「意外と視界を遮らず、他と干渉しない」「特に運転中に気になることはない。ふとした時に目に入って、車検日を時々でも意識できるようになり、改正した意図通りの効果がありそう」というポジティブな声も寄せられています。

 ほかにも、「法律で決まったことだし、いまさら不満を言ったところでどうにもならない。最初は違和感があるのだろうけど、そのうち慣れるかな」といった達観した意見や、「位置より、元号から西暦に変えてほしい」と、元号のように変更になることがなく、使い慣れている西暦で表記してほしいといった意見もありました。

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 万が一、車検ステッカーを指定の位置に貼付しなかった場合、「道路運送車両法第66条」に違反したとし、50万円以下の罰金が科される可能性があります。

 車検ステッカーは小さなものですが、正しい位置に貼らなかったときの代償はかなり大きいようです。