2023年10月31日から11月3日まで開かれた今回のSEMAショーではホンダ「オデッセイ」の顔をまとった「240SX(シルビアの北米仕様)」が注目を集めました。いったいどのようなクルマなのでしょうか。

13Bロータリーエンジンのオデッセイ顔240SXってナニ?

 アメリカ・ラスベガスで毎年11月に開催される、世界最大級のアフターマーケットパーツの見本市「SEMAショー」。
 
 2023年10月31日から11月3日まで開かれた今回のSEMAショーではホンダ「オデッセイ」の顔をまとった「240SX(シルビアの北米仕様)」が注目を集めました。いったいどのようなクルマなのでしょうか。

 SEMAショーは1967年より主催している見本市で、クルマのカスタムやエンジンのチューニングだけでなく、さまざまな「アフターマーケット」の会社・ブランドがこのショーに集まります。

 特にここ数年ではいわゆる「25年ルール」でアメリカでの登録が解禁された日本製スポーツカーや、それよりも古い世代の旧車の出展が多く見受けられるようになっています。

 今年のSEMAショーも例年通り、さまざまなカスタムを施した日本車が数多く展示されました。

 中でも、1999年創刊のチューニング情報雑誌「パスマグ」に展示されたシルビアは来場者の注目の的となりました。

 このビルドを手がけたのはポール・サグナイ氏です。ベース車両は自身が12年以上所有している1993年型240SX(シルビアの北米仕様)ですが、日本のシルビアに近づけるために右ハンドル換装が施されています。

 また、フロントはスピリット玲の「オデビア」換装キットを使って3代目オデッセイのヘッドライトが移植されており、他のS13とは一線を画すエキゾチックな見た目が特徴的です。

 外装色はラメ入りのキャンディピンクが特徴的ですが、それ以上に中身が驚きの仕様となっています。

 ポール氏の240SXはRB25DEにボルグワーナーのEFR 7670を組み合わせて最高出力430hpを誇る仕様で、パスマグ主催の「最強のカスタムカー」を決める選手権「チューナー・バトルグラウンズ」では2023年のチャンピオンにも輝きました。

 それから程なくして、ポール氏はSEMAショー出展にあたって240SXを作り直すことを決定、マツダ「RX-7」などにも搭載されるロータリーエンジン「13B-REW」へ換装することになりました。

 チューニングはバージニア州のロータリーエンジン専門チューナー「エンジェル・モータースポーツ」が担当し、ペリフェラルポートから吸気する「ペリチューン」が施されています。

 クラッチとフライホイールはACT(アドバンスド・クラッチ・テクノロジー)製、ターボチャージャーも新たにボルグワーナーS476へと換装し、最高出力700hpを目指したいとポール氏は語ります。

 これ以外にもスロットルにはボッシュ製の82mm電動スロットルを用いたほか、電動ウォーターポンプ、そしてエンジンルームをすっきりさせるためにオルタネータを撤去など、電装品周りもアップデートされています。

 肝心の冷却系統はラジエーターを上下V字型に配置する「Vマウント化」を敢行。

 ホイールハウスより前はパイプフレーム化されているほか、ストラットタワーは和柄のひとつである「青海波」模様のようなアートも施し、魅せるエンジンルームが完成されました。

 インテリアはRB25DE時代からあまり変わらず、シートはBRIDEのZETAIIIにタカタのハーネスと王道の組み合わせです。足回りにはレイズが日産のモータースポーツ部門「ニスモ」のために手がけたLM-GT2(18インチ)が燦然と輝いています。

 ブレーキはフロント6-potキャリパーに2ピースローターを組み合わせており、強力なエンジンに見合ったブレーキ性能を誇ります。

 今回のプロジェクトはスポンサーの協力なくして実現できなかったとポール氏は語ります。

 今後もさまざまなイベントにこの240SXを展示するとしており、その度に注目を集めることでしょう。