2021年2月に日本に上陸したことでも話題となった「紅旗」。そのミニバンラインナップとなる「HQ9」にPHEVモデルが追加されるようです。どのような特徴があるのでしょうか。

日本でも買える 超ド迫力な高級ミニバン「HQ9」 中国ではPHEV追加か

 中国の高級車ブランド「紅旗」が、新たなPHEVミニバンを投入予定であることが判明しました。
 
 いったいどのようなクルマなのでしょうか。

「紅旗」は中華人民共和国における初の自動車メーカー「第一汽車」の高級車ブランドで、1958年に誕生した「CA72」がルーツ。以来、数多くの中国要人に愛されてきた歴史を持ち、国家の象徴、そして人民の憧れの対象でもあります。

 現在のラインナップは「Lシリーズ」「Hシリーズ」「Qシリーズ」「Sシリーズ」の主に4つの商品群に分けられます。

 歴史的な紅旗ですが、2021年2月には日本に上陸したことでも話題となりました。大阪などにショールームを設けており一般向けの販売をおこなっています。HQ9も受注を受けているようです。

 そんな紅旗ですが、2022年に発表されたミニバン「HQ9」のPHEVモデルが投入間近であることが判明しました。

 この情報が判明したのは中華人民共和国工業情報化部(通称:工信部)の公式サイトです。

 工信部は日本でいうところの経済産業省や総務省の業務を扱う機関。

 中国では自動車メーカーが中国国内で製造する新型モデルを正式発表する前に、その情報を工信部に届け出る必要があり、届出情報は毎月工信部のウェブサイトで公開される仕組みです。

 HQ9は現在、2リッター直列4気筒ターボエンジンに8速ATと、48Vマイルドハイブリッドシステム(システム最高出力245hp)を組み合わせたパワートレインのみを展開しています。

 中国ではここ数年で高級ミニバン市場が盛り上がりを見せており、多数の中国メーカーが新たな高級ミニバンを投入しています。

 そのほとんどはプラグインハイブリッド(PHEV)や電気自動車(BEV)など新エネルギー車(中国語:新能源車)であり、各種税制優遇や大都市でのナンバープレート発給規制の免除となります。

 対してHQ9はガソリン車という扱いになるため、高級ミニバンを求める消費者に対する訴求力はライバル車種に比べて劣っていました。

 そんな中、明らかとなったのがHQ9のPHEVモデルです。

 届出情報によると、ボディサイズは全長5222mm×全幅2005mm×全高1935mm、ホイールベース3200mmと既存のHQ9と同一。

 搭載エンジンも2リッター直列4気筒ターボエンジンと記載されており、排気量も気筒数も同一です。

 ただ、添付されている画像からは「PHEV」のエンブレムが追加されているのが確認でき、このモデルがHQ9のPHEV版であることを示しています。

 HQ9の駆動方式は前輪駆動のみでしたが、PHEVモデルではフロントとリアにモーターを追加し、最高出力281hpの四輪駆動になると言われています。

 これにより最大トルク440 Nm、0-100km/h加速は8.3秒に達すると言われており、既存のモデルよりも気持ちの良い加速感をもたらしてくれることでしょう。

 HQ9は今までガソリン車しか用意していないことに加え、駆動方式も前輪駆動のみであるという点でライバル車種に遅れを取っていました。

 内外装は紅旗らしい豪華な設計ですが、実際に高級ミニバンカテゴリーの販売台数を見てみても、中国メーカーではデンツァ「D9」やジーカー「009」などの新エネルギー車が上位に立っています。

 ここでHQ9にPHEVモデルを追加することで、紅旗を展開する第一汽車は巻き返しを図る狙いがあるとみられます。

 また、第一汽車の乗用車ブランド「ベスチューン」から展開されている兄弟車種「M9」に関しても、PHEVモデルが追加される可能性はあると言えるでしょう。

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 紅旗は2023年4月、複数のエンジンやトランスミッション、バッテリーから構成される新たなPHEVプラットフォーム「HMP」を発表しました。

 HMPのエンジンでは熱効率45.2%の1.5リッターターボエンジンと、熱効率44.3%の2リッターターボエンジンの2種類を用意するとし、近々熱効率47%超の新世代エンジンも投入予定であると明かしています。

 HMP採用車種は2023年12月現在まだ販売されておらず、H9 PHEVがその第1弾車種になると見られ、2024年2月に発表されると言われています。

 中国のミニバン市場は過熱の一途をたどっており、PHEVモデル追加によってさらなるプレゼンスの発揮が期待されます。