東名のバイパスとして活躍する「新東名」はまだ全通していません。最後の未開通区間である新秦野IC〜新御殿場ICはなぜ開通が遅れているのでしょうか。また、開通はいつになるのでしょうか。

いよいよ「残り1区間」の現在

 東名に並行し、首都圏と中京圏をむすぶ「新東名高速道路」。

 全通まで残る未開通区間は、神奈川・静岡県境をまたぐ新秦野IC〜新御殿場ICの約25kmのみとなっています。途中には、山北スマートICと小山スマートICが設置される予定です。

 あとはここさえ完成すれば、海老名南JCT・伊勢原JCTから「新東名だけで」まっすぐ豊田JCTまで走り抜けることができるようになります。

 その「最後の未開通区間」は、一体いつになったら開通するのでしょうか。

じつは開通目標は、何度も延期になっています。もともと「2020年開通予定」だったのが、2019年には「2023年度」に延期。2021年には一旦「開通年度は白紙」となり、2022年末に「2027年度開通予定」となって、現在に至ります。

 ここまで開通が延びに延びている原因は、新秦野IC〜山北スマートIC間にあって、松田町と山北町にまたがる「高松トンネル」(延長約2900m)です。

 このあたりの山には脆弱な地盤や断層破砕帯があり、慎重な掘削が必要となっています。そして実際の掘削工事中にも、2022年9月に掘っていた部分の崩落が発生。工事は約8か月間にわたってストップし、対策の検討に迫られていました。

 昨年11月末時点の高松トンネルの掘削進捗は、上り線トンネルが「1518m」、下り線トンネルが「1372m」完了とのこと。つまり、およそ半分近くまで掘削が進んだことになります。もちろん、まだ未確認となっている脆弱岩盤があるかもしれず、このままのペースで掘り進められる保証はありませんが、それでも気が付けば難工事は折り返し地点に差し掛かっています。

 なお、今は東側からトンネルを掘り進めていますが、今後は西側からも新たに掘り進める予定となっています。

 NEXCO中日本は「引続き安全を最優先に工事の促進を図りながら工程短縮に努め、1日も早い開通を目指す」としています。

 沿線自治体は全通に期待する想いが強く、2022年末の調整会議でも「厳しい現場条件の中、工事工程を精査し、新たな開通目標を示したことは評価する」としたうえで、「県民や企業の早期全線開通に対する期待は大変大きく、1日も早い開通に向けて、事業の推進を図ることを強く要請する」という声が上がっています。