これからの季節、クルマを日の当たる場所に長時間駐車すると車内は耐えられないほど高温になることも。そんなとき速やかに車内の温度を下げるには、一体どうすれば良いのでしょうか。

「最速の冷却方法」が実験で明らかに!

 2024年も夏が近づき、ゴールデンウィークには日本各地で30度を超える真夏日も記録されるなど、熱中症に気をつける必要のある季節が到来しました。
 
 とくに天気の良い日は、炎天下に長時間クルマを停めておくと、その車内は耐え難いほど高温になることも。
 
 そんな状況において、少しでも早く快適にクルマ乗れるよう車内の温度を下げるためには、一体どうすれば良いのでしょうか。

 ロードサービスをおこなうJAF(日本自動車連盟)はこれまでに、「夏に駐車したクルマの車内温度を最も早く下げる方法」について実験を行っています。

 その実験内容とは、車内の温度を下げるための5つの方法「ドア開閉」「冷却スプレー使用」「エアコン(外気導入)」「エアコン(内気循環)」「エアコン+走行」をすべて試すというもの。

 まず公平を期すために、同じ車種かつ同じボディカラーのクルマを5台用意して、車内温度が55度に達したタイミングで各車それぞれに違う冷却方法を試み、温度の変化とかかった時間を測定しました。

 その結果、「エアコン+走行」という方法が最も早く車内の温度が下がるという解を導き出しています。

 具体的な手順としては、クルマの前後すべての窓を全開にし、エアコンは設定温度をLo(最低)に下げたうえ“外気導入”設定でクルマを走らせます。

 そしてそのまま2分ほど走行したらすべての窓を閉め、エアコンを“内気循環”に切り替えて、再び3分間走行したところ、スタート時には55度だった車内温度は、5分で28度まで下がったそうです。

 では、他の4つの方法を試した場合、車内の温度はどう変化したのでしょうか。

車内を冷ました後には「注意点」も

 次点で車内を早く冷却できた方法は、「エアコン(内気循環)」でした。

 これは、クルマの窓を閉め切り、設定温度をLoにしたエアコンを“内気循環”で作動させるというもので、その温度変化は10分間で27.5度まで下がるという結果に。

 また「エアコン(外気導入)」は、窓を閉め切り設定温度がLoのエアコンを“外気導入”で作動させる方法で、10分後にようやく29.5度に下がりました。

 メジャーな冷却手段でもある「ドア開閉」は、助手席の窓を開け、運転席のドアを5回開け閉めして車内の熱気を逃すという原始的な方法ですが、エアコンを一切使わないこともあってか、車内温度は47.5度までしか下がりませんでした。

 そして最も時間がかかったのが「冷却スプレー使用」です。

 こちらもエアコンを使用せず、冷却スプレーを座席に10秒ほど吹きかけるというものですが、車内温度は50.1度と最も暑さを抑えられない方法という結果になりました。

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 これらの実験結果を見ると、最も早く車内を涼しくしたい場合には「エアコン+走行」をおこなうことが最も的確な手段と言えるでしょう。

 また、テストを行ったJAFはこの結果について、「この『エアコン+走行』は短時間で温度を大きく下げるだけでなく、燃料の消費量や排ガスの抑制といった環境面でみてもメリットが多い」とまとめています。

 これからの季節、暑い車内を早急に冷ましたいというシーンには、実験で行ったように窓を全開にし、エアコンを外気導入に設定してしばらく走行してみてはいかがでしょうか。

 ただし車内温度が下がったとしても、ハンドルやシートベルトの金具、ダッシュボードなどはしばらく冷めず熱いままということも考えられますので、運転時にはくれぐれも注意しましょう。