外環道の大泉JCTから東名への延伸工事が、着々と進められています。2024年5月7日に国土交通省 東京外かく環状国道事務所は、外環道の工事状況を知らせる「外環ジャーナル」を更新しました。

陥没から3年半「外環道 東名延伸」今どうなってる?

 東京都では、各高速道路などを相互に連絡できる「東京外かく環状道路」の建設が進められています。
 
 2020年に発生した道路陥没事故の影響で工事がストップしている場所もありますが、この建設工事に対してはどのような反響が寄せられているのでしょうか。

 東京都において「東京外かく環状道路」(通称:外環道)の建設が進められています。

 外環道は都心から約15kmの圏域を環状に走ることで、関越自動車道、東北自動車道、常磐自動車道、京葉道路など都心と各地方をつなぐ高速道路・一般有料道路を相互に連絡しています。

 この外環道に関しては、交通量の分散による首都圏の渋滞緩和や、首都直下地震のような災害発生時に都心部へ複数のルートを確保できるといった効果が期待されます。

 また外環道の総延長約85kmのうち、東京都練馬区にある「大泉JCT(ジャンクション)」から千葉県市川市の「高谷JCT」までの約49kmがすでに開通しています。

 さらに現在は関越自動車道と接続する「大泉JCT」から、東名高速道路と接続する「東名JCT(仮称)」までの約16km区間の開通工事が進められており、その区間内には中央自動車道とつながる「中央JCT(仮称)」も建設予定です。

 同区間は住宅などが密集する練馬区、杉並区、武蔵野市、三鷹市、調布市、狛江市、世田谷区の市街地を通過する道路です。

 そのため地上への影響を軽減するため、基本的に地下40m以深でシールドマシンという掘削機を使ってトンネルを掘り進めています。

 具体的には大泉JCTと東名JCTの両方向からそれぞれ2機のシールドマシンで掘削を進め、地下深くに北行、南行のトンネルを建設するという計画です。

 工事の進捗状況などを公表するウェブサイト「東京外環プロジェクト」によると、2024年5月13日現在、北行のトンネルに関しては大泉JCTから2955m、南行のトンネルは大泉JCTから2466mまで掘進が完了しています。

 しかし、東名JCTから大泉JCTに向けて掘削をおこなっていたシールドマシンについては現在、中央JCTの南方に位置する調布市東つつじヶ丘周辺で作業を一時中止しています。

 これは2020年10月、調布市内で外環道の工事を原因とする道路の陥没・空洞事故が発生したためです。

 この事故を受け、周辺地域では住宅の解体後に地盤の補修工事をおこなっており、工事期間はおおむね2年を見込んでいます。

 ただし、住宅の仮移転や土地の買収などに関する手続きの進捗状況によっては工事期間が長期化する可能性もあるといえるでしょう。

 この区間の工事に関しては、インターネット上で「陥没事故の問題を解決しなければならないのは分かっているが、早期に開通が実現してほしい」「災害時のことを考慮してスピード感を持って取り組んでいただきたい」「これだけ費用対効果が高く公共性の高い事業は他にないのでは」など、区間開通を期待・後押しする声が多数寄せられています。

 また「陥没事故が発生した場所はともかく、大泉JCTから中央JCTまでは先行して開通してほしい」といった意見も聞かれました。

 その一方で、長期間開通を待ち続けている人からは「どのくらいの経済的損失なのだろう」「もう自分が免許返納するまでに開通すれば良いと思うようになった」「私が生きている間には(開通は)無理かな…」といった嘆きの声もありました。

 工事の最新状況に関しては、2024年1月から中央JCTの「Bランプ」、2月から東名JCTの「Aランプ」でそれぞれシールドマシンによる堀進作業が新たに始まっています。

 Bランプは中央JCTから地下深くにある外環道(南行)へ、Aランプは東名JCTから外環道(北行)へ向けて掘り進められる予定です。

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 外環道の建設に際しては地下のトンネル工事だけでなく、地上のランプ橋や各種構造物の工事もおこなわれています。

 事故防止の観点などから慎重な工事が進められており、今後も開通の見通しが難しい状況が続くものとみられます。