2024年2月9日にレクサスは新型「NX」を発表しました。何が変わったのでしょうか。

 レクサスはグローバルで様々なSUVを展開しています。そのなかでもコアモデルとなるのが「NX」。
 
 その見た目からもオンロードが似合うアーバンなSUVという印象を受けますが、新たにオフロードが似合う「“OVERTRAIL”パッケージ」が追加されました。

 NXはレクサスのグローバルコアモデルとして、90以上の国と地域で販売されています。

 初代は2014年に登場。当時は「UX(2018年)」や「LBX(2023年)」がラインナップされていなかったこともあり、SUVらしい力強さを兼ね備えたコンパクトクロスオーバーとして誕生しました。

 2021年には現行となる2代目が登場し、新世代レクサスのデザインを盛り込んだほか、ブランド初のPHEV(プラグインハイブリッド)を採用するなど、レクサスの電動化を推し進める重要なモデルとなっています。

 2代目は登場後に、日本市場において2023年3月に最初の一部改良を実施。ここではボディ剛性向上や足回りやハンドリングの改良などが行われています。

 そして今回、2024年2月9日に2回目の改良が行われました。

 ここでは、ハンドル操作のダイレクト感を向上させたほか、リアボディ変形を抑えるブレース等を追加することでさらにボディ剛性を向上させています。

 加えて走り込みを通じてサスペンションのチューニングを熟成し、乗り心地も高い次元で両立しました。

 この成熟とはどのようなものなのか、開発担当者は「ボディ剛性をしっかり固め、そのうえで、バネ、スタビライザー、アブソーバーをチューニングし直しています。さらにEPSのチューニングもし直して、サスペンションとEPSの協調制御を実現しました」と話しています。

 また、NX450h+、NX350h、NX350では「走行制御の改良」を行ったことで、スムースな発進やアクセル操作に対するリニアな車速コントロールを実現しました。

 この制御の改良について、前述の担当者は次のように話しています。

「HEV及びPHEVについては、加速時のモーターとエンジンの出力分担を見直し、エンジンが吹け上がりにくいような走行制御の改良を行いました。

 2.4リッターターボでは走り始めのATの滑りを許容し、少し回転を持ち上げて、アクセルに呼応した加速感につながるようにしました。

  また、アクセルを踏んでいる足の離し方を見ながら、不要なシフトアップに ならないような改良も加えています」

 その他にNX350では、さらに走り始めの前後トルク配分の見直しを行っています。

 またNXのAWD全車に適用される「Trailモード」も改良されました。

 これは、凸凹路等で発生しやすいタイヤの空転を自動で制御し接地輪に駆動力を最適に配分することで、走破性を向上させています。

 またボディ系・エンジン懸架系のNV諸元を見直すことで静粛性をさらに高めたと言います。

 さらに今回の改良ではレクサスが提案する人と自然とモビリティの共生を考えたアウトドアライフスタイル「OVERTRAIL PROJECT」を具現化した「“OVERTRAIL”パッケージ」がNXに追加されました。

 このモデルではOVERTRAIL専用のエクステリアとして、フロントグリル、ウインドウフレーム、ドアハンドル、ドアミラー、ルーフレールをブラックに統一。

 足元にはオフロードに適した18インチオールテレインタイヤ&アルミホイール(マットブラック塗装)を装着することで、引き締まった印象を付与しました。

 さらに標準仕様より最低地上高を15mm高くすることで悪路走破性を高めています。

 その他、前述の「Trailモード」ではOVERTRAIL専用にチューニングを施したAVSを搭載。

 これはTrailモードと連動し、悪路走行時において頭の揺れなどを抑えることで、安定性・快適性を向上させるものです。

 またインテリアでもOVERTRAIL専用の“モノリス”を設定。ブラックを基調としながらカーキーのようなモノリスを組み合わることで落ち着いた印象を与えているうえ、多少の汚れも気にならなくなりそうです。

 またNXの特徴とも言えるオーナメントパネルもOVERTRAIL専用となり、地層を表現したようなジオレイヤーが採用されました。

いざ改良された「NX」に乗ってみる! どんな印象?

 今回は新たに登場した「NX350 OVERTRAIL」を東京都内近郊で試乗しました。

 日常的に初代NXと2代目NXに乗る機会があり、今回の改良でどのような違いがあるのか楽しみです。

 走り出しは足回りが固い印象を受けましたが、これはまだ卸したての新車ということもあるのかもしれません。

 ある程度、速度が上がってくると登場したばかりの2代目NXと比べてしっかりと足が動いている印象です。

 また従来では首都高などの中速コーナーなどで「もう少しカッチリしてくれると…」と思っていた場所でも、今回のNX350 OVERTRAILでは「まだ踏んでいける」という余裕も出てくるほど、コーナリング性が高まっている印象を受けました。

 同じく今回リアボディに変形を抑えるブレースが追加されたことも相まって、首都高のアップダウンや連続コーナーでもストレスなく走ることが出来ます。

 前述の静粛性向上の部分で、NXはかねてから車内に聞こえてくるエンジン音に対する不満の声が少なからず聞かれていましたが、今回乗ってみると対策されていることが分かりました。

 ただそれでも低速域でのシャラシャラ音は残り、この部分はもう少しカイゼンを続けて欲しい部分かもしれません。

 また今回の試乗では、走りが良くなった足回りなどの改良と、OVERTRAIL専用の18インチオールテレインタイヤを装着という相反する要素で乗ったこともあり、標準仕様の素の良さは未体験です。

 標準仕様でこの改良された内容であれば、おそらく良さはもっと顕著に分かるかもしれません。

 なお2代目が登場して初期に購入したオーナーが試乗すれば、乗ってすぐにその進化度合いが分かると思います。

 また今回はOVERTRAILということで、見た目も標準とは異なっています。

 前述のように各パーツをブラック化しているのが特徴で、スタイリッシュになっています。

 ただし、OVERTRAIL第1弾となる「GX OVERTRAIL」と比べると、オフロードやアウトドアという要素は薄い印象です。

 Trailモードが体感出来る場所で試乗をすれば、その良さが分かるかもしれませんが、見た目上でも“これぞOVERTRAIL”という強調出来る部分はあったほうが、ユーザーの購買欲はさらにそそられるでしょう。