警視庁は自動車で「ホッピング走行」を繰り返した神奈川県相模原市の26歳男性に対し、「安全運転義務違反」で交通反則切符(青切符)を交付したと発表しました。

渋谷では改造車の集団走行が問題に!

 2024年5月13日に警視庁は、自動車で「ホッピング走行」をしたとして26歳の男性ドライバーを交通違反で検挙したことを発表しました。
 
 このホッピング走行の摘発は警視庁初ですが、一体どのような行為なのでしょうか。

 警視庁は自動車で「ホッピング走行」を繰り返した神奈川県相模原市の26歳男性に対し、「安全運転義務違反」で交通反則切符(青切符)を交付したと発表しました。

 ホッピング(hopping)は飛び歩く、ぴょんぴょん跳ぶといった意味の英語であり、ホッピング走行とは車体を大きく上下に揺らして飛び跳ねるように走ることをいいます。

 男性は油圧によって車高を操作できるようアメ車(アメリカ製の自動車)を改造しており、5月5日の未明、ホッピングを繰り返しながら時速30kmほどのスピードで東京都渋谷区の路上を走行したと報じられています。

 ホッピング走行を繰り返した理由について、男性は「周囲の人に見せたかった」などと話しており、すでに9000円の反則金を納付しています。

 こうしたホッピング走行の摘発は警視庁として初めてのことですが、実は改造車による都心部での危険な走行は以前から問題視されていました。

 渋谷では毎月1回程度、週末に多くの改造車が集結し、中心街を集団で走行しています。

 そこではホッピング走行だけでなく、前輪の1つを浮かせて3輪で走る「リフト走行」といった危険な行為が繰り返されてきました。

 そして2023年10月7日の夜には、渋谷のスクランブル交差点付近でリフト走行をしていた改造車が歩道に乗り上げ、7人が負傷する大事故も発生しています。

 これらの危険行為に対してはSNS上で「これ、カッコイイと思ってやっているのかな?」「危ないし、他人に迷惑をかける行為はやめて欲しい」といった声のほか、「このクルマで車検通るの?」といった疑問も複数寄せられています。

 また、警察の取り締まりに関しては「今まで取り締まられてなかったことが驚き」「この程度の罰則じゃ今後も同じことを繰り返しそう」「改造車の時点で使用を禁止して欲しい」などの意見が聞かれました。

 しかし、改造車だからといってすべての車両を検挙できるわけではありません。

 たとえ改造車でも道路運送車両の保安基準を満たしていれば車検に通ることが可能である上、「整備不良」の違反にも当たりません。

 さらに、不正改造車のドライバーの中には国土交通省の職員から整備命令を受けた際にクルマを一時的に直すだけで点検後すぐ元の状態に戻す者もおり、「いたちごっこ」のような状況が続いています。

 このように実効性のある取り締まりが難しい中で、警視庁は交通工学の専門家と協議し、事故につながるおそれのある行為を安全運転義務違反として検挙することを決めました。

 安全運転義務違反は道路交通法第70条に規定されており、運転者がハンドルやブレーキ、その他の装置を確実に操作し、なおかつ他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転することを義務付けています。

 この違反で青切符を交付されると違反点数2点が累積するほか、普通車で反則金9000円が科されます。

 交通違反の中で反則金9000円は決して安い金額ではありませんが、周囲の人を巻き込むおそれのある危険な運転に対するペナルティとしては軽いようにも感じられます。

 警視庁では今後、悪質なケースについて取り締まりを徹底する方針を示しており、渋谷で危険走行をする集団に対しどれほどの抑止効果があるのか、その動向が注目されています。

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 インターネット上では不正改造が疑われる車両に関して「管轄の運輸局や警察に通報する」「繰り返し通報していたら違法車両がノーマルになっていた」などの体験談も寄せられました。

 関係機関への通報も、不正改造車を減らす一助となるかもしれません。