トヨタ「ランドクルーザー」は新型だけでなく、中古車の人気も高いのが特徴で、20年以上前の中古車も高値で取引されています。しかし、古いランクルを維持するには注意すべきことがあるようです。

古いランクル購入時の注意点とは?

 トヨタのオフローダー「ランドクルーザー(ランクル)」は、長い歴史を持つモデルとして知られています。
 
 1980年代に活躍した「60系」、1980年代半ばからロングセラーを記録し復刻モデルまで限定で登場した「70系」、ボディサイズが大きくなり存在感がさらにアップした「80系」、2000年代に高いオフロード性能と高級感を両立した「100系」、新型が登場するまで圧倒的なサイズと走破力で世界中からもてはやされた「200系」と、歴代モデルごとに独自の魅力を持っています。

 そして、2021年にフルモデルチェンジして登場した最新のトヨタ「ランドクルーザー(300系)」は、納車まで数年かかるといわれるほど大人気となっているのですが、ランクルの場合は中古車も非常に高い人気を誇るのも特徴のひとつ。

 2000年代以前に登場した70系もプレミア価格で取引されるなど、最近ではアウトドアブームや旧車人気の高まりなどを受け、さらに価値が上昇しているようです。

 国内だけでなく、海外でもランクルは圧倒的に支持されており、クルマが故障したら生きて帰ってこられないような過酷な地域では、ランクルの絶対的な頑丈さと高い信頼性が必要とされているのです。

 大柄なボディのため取り回しがいいとは言えませんが、古いモデルは複雑な電子制御装備も少なく、整備性に優れているといるのも魅力のひとつだといえるでしょう。

 堅牢さと信頼性の高さ、さらに世界屈指の悪路走破性をも併せ持つ世界的人気車ということもあり、手放す場合に高く買い取ってもらえるという特徴もあります。

 中古車でもプレミア価格となっているランクルですが、所有してみたいと願う人も多いことでしょう。

 その一方で、古いランクルは経年劣化を避けては通ることはできず、ほかの旧車同様に維持する難しさがあるようです。

 古いランクルを所有するには、どんなことに注意するべきなのでしょう。

 実際に古いランクルのオーナーであるT氏は次のようにいいます。

「先進的な電子機器を搭載していない『ネオクラシック』として楽しむには良いかもしれませんが、経年による劣化や不具合は避けられません。

 比較的新しい100系や、値段は張りますが先代の200系ならまったく心配はいらないと思いますが、それでも純正パーツの在庫切れの話をチラホラ聞いています。

 歴代ランクルは修理したくても交換パーツが不足しているようです」

 古いランクルの整備経験を持つ現役整備士のF氏も同様に、純正パーツの在庫状況が心配だと言います。

「走行距離が10万kmや20万kmに届くという中古車も多く出回っています。

 たとえばエンジンが故障した場合、程度の良い中古のエンジンを探すわけですが、すでに60系は全国で探しても見つかりませんでした。

 壊れてしまったら修理できずに廃車になってしまうケースも出はじめています」

 そう簡単に壊れるものではありませんが、古い構造ゆえにガスケットが抜けたり、アーム類が腐食して折れてしまうなどの不具合がいつ起きてもおかしくない個体も存在。

 また意外にもウェザーストリップなどのゴム製パーツが見つからないといい、これは自作することもできるそうですが、そのぶん費用も高くつくのがネックでしょう。

 代替部品の確保やパーツがなくてもなんとか修理できるスキルを含めて、しっかりメンテナンスできる整備工場やショップを探すということも、古いランクルを維持する上では重要となってきそうです。

※ ※ ※

 古いランクルは、パーツの在庫状況が心配な面もありますが、その一方で、売却する場合、買った時とほとんど変わらない評価で査定してもらえると言うメリットもあります。

古いクルマならではの苦労はもちろんあるものの、中古車を購入したらメンテナンスやパーツ交換をしっかり済ませてから乗り出すのが良さそうです。