「ジャパンモビリティショー 2023」で世界初公開されたホンダ新型「プレリュード コンセプト」。約22年ぶりに車名が復活しましたが、そもそも歴代モデルはどのようなクルマだったのでしょうか。

そもそも「プレリュード」はどんなクルマだったのか

 2023年10月に開催された東京モーターショー改め「ジャパンモビリティショー 2023」でサプライズ披露された、ホンダの「プレリュードコンセプト」。
 
 過去に存在していたスペシャリティクーペ「プレリュード」の復活を示唆するモデルであり、2020年代半ばの発売がアナウンスされました。そもそも、歴代のプレリュードはどのようなモデルだったのでしょうか。

 初代プレリュードは1978年11月にホンダとしては久々の2ドアクーペモデルとして登場。

 登場前は本格的なスポーツモデルという噂もありましたが、実際はスペシャリティクーペに仕上げられており、国産車初となる電動サンルーフを設定し、上級グレードには英国・コノリー製レザーを用いた豪華なシートがオプション設定されていました。

 一方のパワートレインは「アコード」にも搭載されていた1.8リッターの「CVCC」エンジンが搭載され、“アコードのクーペ版”とされる向きもありましたが、実際はシャシーやサスペンションなどはプレリュード用に仕立てられた新設計のものを採用。

 スペシャリティクーペでありながら、痛快なハンドリングを備えたモデルに仕上がっていたのでした。

 そして、1982年11月に登場した2代目プレリュードは、初代のスペシャリティカーというキャラクターはそのままに、より先進性を持ったモデルへと進化。

 エクステリアではリトラクタブル式ヘッドライトを採用し、フロントサスペンションをダブルウィッシュボーン式としたことで、低くシャープなスタイルを実現していました。

 エンジンも、完全新設計となる12バルブエンジンを採用し、オプションで日本初となる4輪ABS(当時は4w A.L.B.と表記)を設定したこともトピックとなっています。

 そんな2代目プレリュードは、日本車離れしたスタイリッシュなデザインと、運転席側にも助手席リクライニングノブを備えたことで「デートカー」という言葉の元となり、一躍大人気モデルとなったのでした。

 3代目モデルは1987年4月に登場しました。

 基本的なスタイルは踏襲され、大ヒットした2代目の面影を強く残していますが、サスペンションが4輪ダブルウィッシュボーン式となり、フロントノーズは当時のフェラーリよりも低いと言われるほどのロースタイルを纏っていました。

 もちろんプレリュードらしく先進装備はこの代でも盛り込まれ、量産乗用車では世界初となる機械式4WSを8万円高でオプション設定。搭載エンジンも全車2リッターとなっていました。

 1989年11月のマイナーチェンジでは固定式ヘッドライトを備えた「inx(インクス)」を追加設定し、90年10月には輸出仕様に近い2.1リッターエンジンと3ナンバーサイズの全幅を持つ「Si ステイツ」が3000台限定で販売されました。

4代目からはイッキに「スポーツ路線」へ

 1991年9月に登場した4代目プレリュードは、スペシャリティクーペというキャラクターはそのままに、よりスポーティな性格を併せ持つモデルへと進化しました。

 ボディも3ナンバーサイズへと大型化がなされ、搭載エンジンも2.2リッターになるなど、クラスアップを果たします。

「Si VTEC」グレードにはDOHC VTECエンジンが搭載され、最高出力は200PS/22.3kg・mを発揮。

 サスペンションも4輪ダブルウィッシュボーン式は踏襲しながらもアーム類のジオメトリーを見直し、ダンパーの減衰力とスタビライザーの強化なども実施し、走行性能を向上しているのが大きなトピックです。

 その一方、スペシャリティクーペとしては新たにアウタースライド式のサンルーフを設定し、インテリアではバイザーレスタイプのワイドタイプのメーターの採用や、現行型オデッセイにも搭載されている中折れ機構を持つパッセンジャーシートの設定車を用意していました。

 そして、現時点で最後のプレリュードとなる5代目モデルは1996年11月にリリースされました。

 先代のグラマラスなデザインから一転、プレーンなノッチバックスタイルへと戻され、全幅も15mm狭められるなど引き締まった印象となりました。

 先代が持ち合わせていたスポーティさはより強調され、200PSを発生するDOHC VTECモデルのほか、新設された「Type S」では専用チューニングによって2.2リッターの排気量のまま220PSを発生。

 さらにのちに登場するホンダ独自のトルクベクタリング4WD「SH-AWD」の祖とも言える左右駆動力分配システム「ATTS(アクティブ・トルク・トランスファーシステム)」も採用。

 FFでありながら究極の“ニュートラルステア”を実現しようとしていたのも特徴でした。

 しかし、折からのスペシャリティクーペ需要の冷え込みもあって2000年秋ごろに生産を終了し、スポーツクーペであるインテグラに統合される形で姿を消すこととなったのです。

 そんなプレリュードが消滅し、20年以上が経過した現在も、依然としてスペシャリティクーペの需要が高まっているとは言えない時代です。

 こうした状況で、“あえて”投入される新型プレリュード。果たしてどんなモデルとなるのか、今から楽しみです。