近年多発するゲリラ豪雨と、それによる道路の冠水。では一体どの程度の冠水路であればクルマは走行できるのでしょうか。そしてクルマのボディ形状によっても差は生じるのでしょうか。

セダンは「冠水路」に弱い?

 一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)の宮城支部は2024年6月7日、梅雨の時期に発生する突然の豪雨や長雨の影響による「道路冠水」について、ドライバーに注意を呼びかけました。
 
 宮城県は、2022年7月に発生した記録的な豪雨によって河川の氾濫や低地での浸水被害が相次ぎ、車両冠水による救援依頼件数が248件も殺到。
 
 また2023年9月にも、台風の影響による冠水が仙台市内の各所で見られ、車両冠水による救援依頼が10件に上りました。

 このように近年では、梅雨から夏にかけて突然の大雨(通称、ゲリラ豪雨)が発生することが珍しくなく、河川の氾濫にくわえて、道路やアンダーパス(立体交差点等の下の道路)に雨水が溜まり冠水路となっている光景が見られます。

 基本的に、このような道は通行を避けることが二次災害を防ぐためにも望ましいのですが、場合によって迂回路が無く、そのまま進行して脱出しなければならない状況もあるでしょう。
 
 では、一体どの程度の冠水路であればクルマは走行でき、またボディ形状によっても差は生じるのでしょうか。

 これについてJAFは過去に冠水路走行テストを実施し、背の低い「セダン」タイプと最低地上高の高い「SUV」タイプを用いて冠水路の走破性に違いがあるのかについて実証実験をおこないました。

 その結果、セダン(トヨタ「マークII」)は水深30cmの冠水路であれば時速10kmで走り抜けることができたものの、水深60cmのコースはエンジンが停止しクリアすることが出来ませんでした。

 一方でSUV(日産「エクストレイル」)は、水深60cmのコースであっても時速10kmで走行することが可能。ただし速度を時速30kmに上げると、先述のセダンのように走りきることができなくなってしまいました。

 JAFはこの結果について、「同じ水深でも、速度が高くなると巻き上げる水の量が多くなり、エンジンに水が入りやすくなる」と説明。

 最低地上高の高いクルマのほうが深い冠水路を走破しやすいものの、走行速度も重要なポイントになっているようです。

 また、このテストでは代表的な1車種を用いて実験しましたが、同じSUVといってもメーカー・モデルによって最低地上高の高さは約150mmから約250mmと大きく差が見られます。

 そのため「SUVであれば冠水路に強い」とは一概に言えない面もあり、ジャンルのみならずモデル個々の特性を見ることが重要です。

 そして冠水路に入ったクルマが止まってしまう原因は、巻き上げた水が給気口やマフラーを通ってエンジン内部まで侵入することにより、エンジンが故障してしまう「ウォーターハンマー現象」が考えられるほか、配線などの電気系統が侵入した水によってショートし、各パーツが稼働できない状態になった可能性もあります。

 このように様々な要因によって冠水路ではエンジンが停止することが想定されるため、他の車両が走行していたとしても自車が走りきれるとは限りません。

 やはりいかなるクルマであったとしても、豪雨時に冠水している可能性のある場所を通行しないよう、事前に近隣地域のハザードマップを確認して、道路形状が低くなっていそうな場所を避けて走行するように心がけることが、最悪の事態を避けるために大切です。