スバルの「クロストレック」と「インプレッサ」が、2023年度JNCAP「自動車安全性能ファイブスター大賞」を受賞しました。「JNCAP (自動車アセスメント)」とはどのようなものなのでしょうか。

最近よく聞く「JNCAP (自動車アセスメント)」って何?

 最近、自動車メーカーにおける「認証問題」が度々話題となっています。
 
 そのなかで耳にする機会が増えてきた「JNCAP (自動車アセスメント)」とはどのようなものなのでしょうか。

 スバルの「クロストレック」と「インプレッサ」が、2023年度JNCAP「自動車安全性能ファイブスター大賞」を受賞しました。

 そう聞いても、ピンとこないユーザーもいるでしょう。

 これは自動車の安全性に対する高い評価なのですが、ユーザーの間でJNCAP(ジェー・エヌキャップ)についての認識がまだあまり高くないからです。

 または、メーカーのホームページや、新車のカタログなどでJNCAPという表記を見たことがあっても、ところで「JNCAPって何?」と聞かれても正確には答えられず、ネットでJNCAPと検索してみても、まだなんとなく理解できない人もいるかもしれません。

 JNCAPは、J(日本)におけるニュー・カー・アセスメント・プログラムの略称。

 実施するのは、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA:ナスバ)です。

 NASVAによれば、JNCAP(自動車アセスメント)の概要は次の通りです。

「自動車等の安全性能の評価・公表を行うことによって、ユーザーが安全な車選びをしやすいように、そして車を作るメーカーのより安全な車の開発を促進するため」

 そう言われると、「JNCAPは国が定めた規制なのか?」とか「安全性に対する基準を再評価するものなのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。

 自動車アセスメントは、規制でも基準でもなく、あくまでも第三者機関が自主的に行う評価という点が、ユーザーには少し分かりにくいかもしれません。

 自主的であるためにNASVAは、販売台数が多い車両を中心に評価試験の対象車種を選定し、一般向けに販売されている状態の車両を購入するという形をとっています。

 つまり、JNCAPは販売されている全ての車を対象に行っている訳ではありません。

 今回、試験データが公表されたのはクロストレック・インプレッサ(満点中98%)のほか、総合評価で最高の5つ星は、トヨタ「クラウンクロスオーバー」「クラウンスポーツ」(95%)、マツダ「CX-60」(94%)、ホンダ「ZR-V」(94%)、レクサス「RX」(93%)、日産「セレナ」(93%)、レクサス「NX」(93%)、ホンダ「N-BOX」(91%)、トヨタ「プリウス」(91%)、日産「エクストレイル」(91%)と続きます。

 さらに、総合評価4つ星では、レクサス「LBX」(92%)、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」(92%)、スズキ「スイフト」(90%)、スズキ「スペーシア/スペーシアカスタム」(86%)、マツダ「フレアワゴン/フレアワゴンカスタムスタイル」(82%)、そしてダイハツ「タント」、スバル「シフォン」(81%)という結果です。

 では、具体的にどのような試験を行っているのでしょうか。

 評価されるのは、大きく3つの領域です。

 クルマが衝突することを事前に防ぐための「予防安全」、車が衝突した後に乗員保護を行う「衝突安全」、そして事故が発生した際の「事故自動緊急通報装置」の3つとなります。

 自動車アセスメントの歴史を辿ると、衝突安全に対する試験が先行し、その後に予防安全が加わったという経緯があります。

 2023年度での衝突安全に関する試験項目は、車が真正面から衝突する「フルラップ前面衝突」や、対向車や障害物と少しずれた状態でぶつかる「オフセット前面衝突」、「歩行者頭部保護」など7項目で構成されています。

 一方、予防安全では、先進的運転支援システムを用いた「対車」、「対歩行者・昼および夜」、「ペダル踏み間違い時加速抑制」など7項目です。

 衝突安全と予防安全のそれぞれで、AからEまで5段階のランクがありますが、衝突安全では試験を行ったモデルではAまたはB、そして予防安全では全モデルがAとなりました。

 また、事故自動緊急装置については、先進型を装備していると最高8点となります。

 こうした3領域での得点を、最高5つ星で総合評価する仕組みです。

 5つ星の中で最も得点が高いモデルが、今回クロストレック・インプレッサが受賞した「ファイブスター大賞」となります。

最近話題の「認証問題」とJNCAPは関係あるの?

 自動車アセスメントは、グローバルで国や地域によって実施されています。

 全体的に見れば同じ方向性を持った試験内容なのですが、それぞれの交通環境に応じて若干の独自性を持っているのが現実です。

 私見では、欧州のユーロNCAPが新しい試験を最初に採用する傾向があると思われ、JNCAPでは欧州での動きが影響しているものと認識しています。

 別の視点で最近、JNCAPが世間から注目されたのが、型式指定の申請に伴う「認証不正」問題ではないでしょうか。

 例えばトヨタの説明の中で、予防安全における認証試験で、JNCAPの試験を用いたことが結果的に「認証不正」とされた事案がありました。

 実質的に、自動車メーカーが大量生産する際に必然となる型式指定に対する認証と、自動車アセスメントの間にズレがあるということです。

 認証と自動車アセスメントは、それぞれの目的が違うため、こうしたズレが生じることは致し方ないかもしれません。

 だた、ユーザーから見れば、安全性の基準が統一されている方が分かりやすいとも言えるでしょう。

 この点は今後、自動車産業界全体と国が協議するべきです。

 そうとはいえ、認証は法律であり、その内容に沿った試験を行っていないということは大きな問題です。

 自動車メーカーにとって法令遵守は絶対です。

 ユーザーが自動車メーカーに対する信頼を大きく損ねるような結果を招いている現実に対して、自動車メーカーは反省し、自社の努力として再発防止を徹底するべきだと思います。