奈良県吉野町にある世界遺産の金峯山寺で、解体修理中の仁王門(国宝)から、「昭和の大修理」と呼ばれる1943〜50年の前回修理時の墨書が見つかった。前回修理は報告書が残っておらず謎が多いが、太平洋戦争による物価急騰や人手不足、さらには自然災害に直面した難事業の一端を職人らが記録していた。

 仁王門は高さ約20メートルで、南北朝時代の再建とされる。寺で現存する最古の建造物だが、礎石の沈みや部材の傷みが激しく、修理のため昨年から解体が行われている。

 墨書は、屋根の軒先にある「飛檐垂木」という部材などに書かれていた。前回修理を手がけた職人らが書いたとみられる。