電気設備工事会社「北陸電気工事」(富山市)に勤務していた男性=当時(62)=が出血性胃潰瘍で死亡したのは長時間労働による心身の負荷が原因だったとして、男性の妻ら遺族3人が6日、勤務先の会社に約7300万円の損害賠償を求め、富山地裁に提訴した。遺族の代理人弁護士によると、消化器系の病気では異例の労災認定をされていた。

 訴状によると、男性は2019年8月の定年退職後、再雇用されて放送局工事の現場責任者として勤務。工程管理や安全管理、施主との打ち合わせなど幅広い業務を担当した。

 21年10月以降、深夜までの長時間労働が続き、同12月に自宅で出血性胃潰瘍を発症して死亡した。遺族側の集計によると、時間外労働は死亡前日までの1カ月間で約176時間、その前月は約145時間に上った。遺族側は、会社は心身の負荷が過度にならないよう注意する義務を怠ったと主張している。

 富山労働基準監督署は今年5月に労災と認定した。同社は「訴状が届いていないので現時点でのコメントは差し控えさせていただきます」とした。