岡山県笠岡市の笠岡地区消防組合で、救急車の現場到着が遅れるミスが昨年に2回あったことが8日、関係者への取材で分かった。救急車が盗難防止で動かない設定になっていたり、職員が間違った住所に出動させたりした。2回とも搬送者は死亡した。同組合は事実を公表していなかった。

 関係者によると昨年2月5日、70代女性の救命のため出動しようとしたが、車庫内の救急車が盗難防止の設定になっており、解除に手間取ったため出動が約5分遅れた。

 事前に車両を点検した際に作業を誤ったとみられ、担当者が提出した顛末書には「時間短縮が重要な事案でありながら、重大なミスを犯した」と記載されている。

 昨年12月17日午後5時55分ごろには「40代女性が心肺停止状態」と119番があり、通信指令課の職員が住所を十分に確認せずに救急隊を間違った場所に出動させた。職員がミスに気づき指示を出し直したが、正しい住所には、そこから約10分後に到着した。

 笠岡地区消防組合消防本部は取材に対しミスを認め、2人の遺族には既に謝罪したと説明した。