外国人の収容・送還のルールを見直す改正入管難民法が9日、参院本会議で与党などの賛成多数により可決、成立した。入管施設の長期収容解消を目的に、難民申請中の強制送還停止を原則2回に制限する内容で、本国で迫害を受ける恐れがある人を帰してしまうとの懸念が根強い。国会審議で立憲民主党や共産党など野党は反対し、廃案を求めた。

 改正案は、不法滞在などで強制退去を命じられても送還を拒む外国人の退去を進めるのが狙い。入管当局は、送還を逃れる意図で難民申請を繰り返すケースが多いとしており、3回目の申請以降は「難民認定すべき相当の理由」を示さなければ送還する。

 改正案は、2021年の通常国会にも提出されたが、名古屋出入国在留管理局で同年3月、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が死亡した問題を巡って与野党が対立し、その後廃案となった。

 立民などの野党は、難民保護を目的とする対案を参院に提出。立民は採決阻止のため委員長解任決議案と斎藤健法相の問責決議案を出したが、いずれも否決された。