運輸安全委員会は28日、宮城、福島両県で2022年3月に最大震度6強を観測した地震で東北新幹線が脱線した事故の調査報告書を公表した。地震で停車した車体が激しく横揺れし、車輪が浮き上がってレールを乗り越える「ロッキング脱線」が起きたとみられると指摘。「高速走行する新幹線は安全性を最大限確保するべきだ」として脱線への対策を求めた。

 安全委は、横転を防ぐために車輪に取り付けていた「逸脱防止ガイド」が被害拡大を防いだとして一定評価。一方で一部の車輪はレールから大きく逸脱しており「今後十分な技術開発を進めることが望ましい」とした。

 報告書によると、22年3月16日、福島―白石蔵王間で東京発仙台行きやまびこ223号が17両中16両で脱線。乗客6人が負傷した。68車軸のうち60軸が脱線。少なくとも10軸で車輪がレールから大きく逸脱した状態だった。

 JR東日本は再発防止策として、車体の横揺れを和らげる「ダンパー」の導入を検討。車輪の近くにある機器の形状を改良して逸脱防止を図るなどした。