「腐った物を食べさせられた」「携帯電話に登録した友達を全て削除された」―。ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者支援に取り組む一般社団法人「白鳥の森」(徳島市)に寄せられた被害例だ。このほど男性を対象に実施した調査結果を公表した。野口登志子(のぐち・としこ)代表理事は「男性もDV被害を受ける実態を知ってもらい、男性イコール加害者という偏見をなくしたい」と話す。(共同通信=別宮裕智)

 団体によると、男性に限定した調査は全国的にも珍しいという。

 昨年10〜12月、団体が支援した20〜50代の男性20人を対象に徳島県の事業の一環として実施した。

 警察庁によると、2023年に全国の警察に寄せられたDV被害相談のうち、男性からは2万6175件と過去最多で全体の29.5%を占めた。

 今回の調査では対象の20人全員が「命の危険を感じていた」と回答した。女性との体格差がある分、包丁などで脅されるケースが多いという。

 取材に答えた県内の男性は、妻に殴られたり蹴られたりする身体的暴力のほか、多額の浪費などの経済的暴力にも苦しんだ。「男なんだから稼げ」と追い詰められ、借金返済のため昼夜問わず働き続けて体調を崩し入院を余儀なくされた。

 4月から団体の支援を受けている発達障害がある県内の40代男性は、包丁を持った妻に追いかけ回されるなどの被害を受けたが「発達障害である自分が悪い」と思い、被害者の自覚がなかった。

 調査では「怒らせる自分が悪いのでは」といった意識から18人が「暴力で対抗しようと思わなかった」と回答した。

 また自治体などの相談窓口の名称に「女性」や「子ども」と冠していることで男性が相談しづらい傾向があることも判明した。

 野口代表理事は「DV被害者支援に男女差別があってはならない」と警鐘を鳴らす。調査結果は白鳥の森のホームページで公表されている。