厚生労働省は28日、小林製薬(大阪市)の紅こうじサプリメントを摂取後に死亡した疑いで調査している事例が新たに76人に上ったと発表した。武見敬三厚労相は直前まで報告がなく遅れたことに「極めて遺憾だ。今後の死亡事例の調査は小林製薬だけに任せておけず、厚労省が直接、進捗を管理する」と述べた。健康被害の発生公表から3カ月が経過して死亡疑いが大幅に増加、食品による被害として異例の規模となった。

 小林製薬は「被害発生の可能性が否定できないものは広範に報告・公表すべきだと判断した」と理由を説明したが、記者会見は開かなかった。情報発信やガバナンス(企業統治)体制が厳しく問われそうだ。

 小林製薬には死亡を疑う相談が170人分、寄せられていた。うち94人は摂取していないことなどが確認され、無関係だった。76人の死亡原因に関しては、腎関連疾患だけではなく、がんや脳梗塞、肺炎、大動脈解離なども含まれる。当初は腎疾患に絞って死亡疑いを公表していたが、幅広い疾患に拡大したとしている。