自民党では28日、衆院3補欠選挙で全敗が確実となった結果を受け、次期衆院選への危機感から岸田文雄首相による早期解散に慎重な見方が広がった。派閥裏金事件への対応のまずさが指摘され「大逆風だ。責任は首相にある」(閣僚経験者)と、9月の党総裁選への出馬を断念すべきだとの声も出た。

 茂木敏充幹事長は党本部で記者団に「自民に厳しい目が向けられている。課題を解決することで信頼回復に努め、党勢回復に全力で取り組みたい」と表明。課題に政治改革や物価高、円安などを挙げ「しっかりと応えるには時間がかかる」として、衆院選で国民に信を問うには一定期間が必要との認識をにじませた。

 党三役経験者も「負けが島根1区だけの現象なのか、全国で起こり得るのか分析が必要だ。早期の衆院解散に踏み切るとしたら狂気の沙汰だ」と警告。中堅議員は「党の支持層が離れている。岸田首相では選挙を戦えないとの批判は避けられず、6月解散は無理だろう」と分析した。