【ワシントン共同=高木良平】トランプ前米大統領(76)は30日、東部ニューヨーク州の大陪審に起訴された。勝利した2016年大統領選の直前に不倫相手に支払った口止め料を「弁護士費用」と偽って不正処理したり、選挙関連の州法に違反したりした可能性がある。CNNテレビによると、30以上の罪状で起訴され、検察の要請を受けて4月4日にも出頭することを検討している。AP通信によると、同州の裁判所当局者は3月31日、罪状認否が4月4日に行われると明らかにした。
米大統領経験者の起訴は初めて。共和党の前大統領は24年大統領選に出馬表明していることを踏まえ「選挙妨害」と批判し、共和党議員も司法の政治利用だと反発。民主党は大統領経験者でも免責特権はないと訴え、党派対立が激化している。
民主党のバイデン大統領は3月31日、起訴に関して「ノーコメントだ」と記者団に述べた。
前大統領は「完全に無実だ」と主張し、出馬を取り下げない意向。起訴の不当性を訴えて求心力維持を図っており、前代未聞の事態を政治利用する構えだ。