ロシアのプーチン大統領は31日、ウクライナ侵攻による欧米との関係悪化を背景に、米国をロシアの安全保障の主要なリスクと名指しした新たな「外交政策概念」を大統領令で承認した。ロシア大統領府が発表した。

 同概念はその一方で「最大の核保有国として、米国と共存し世界の戦略的安定を保つ」とも強調、今後も米国との戦略核兵器の戦力均衡を保つ方針を明示した。

 プーチン氏は今年2月の年次報告演説で、米国との間で唯一残った核軍縮合意「新戦略兵器削減条約(新START)」の履行停止を表明。米国も条約に基づく核弾頭やミサイルの数、場所などに関する情報交換停止を発表し、戦略核を巡る状況は不透明さを増している。ロシアは米ロの疑心暗鬼がこれ以上高まることを避けたとみられる。

 「外交政策概念」はロシア外交政策の基本指針で、改定は2016年以来。ロシアと同盟国への攻撃に対処するため「ロシア軍を使う」と明記するなど、欧米との対決姿勢を鮮明にした。