【ヘルソン共同】ウクライナ南部ヘルソン州にあるカホフカ水力発電所の巨大ダム決壊で、洪水に襲われた州都ヘルソンに共同通信の現地助手が6日入った。「何とか生き延びた」。住民らはショックを受け、避難は大混乱。救助が間に合わず取り残された人もいるとみられる。ドニエプル川の水位は上昇を続け、7日午前にピークを迎える見通し。ゼレンスキー大統領はロシア軍がダムを破壊したとし「戦争犯罪」と糾弾した。

 「ロシアがダムを破壊したのは、ウクライナ軍の反転攻勢に対し、何もできないことを知っているからだ」。異臭を放つ濁流を見下ろし、パベルさん(47)は憤った。水面には油膜も広がる。

 洪水が深刻な中州の街区から救助の軍用車両が到着した。ドアが開くと水があふれ出した。「車内も浸水していたのよ」と乗っていた人々が憔悴した表情。持ち出せたのは大切な荷物やペットだけ。高齢者が多く、泣いたりぼうぜんとしたりしていた。

 「何とか生き延びた」とスビトラナ・イワニブナさん(77)。自宅に水が押し寄せ、市役所に電話で助けを求めた。