花粉の「運び役」である昆虫を内部に閉じ込め、一方的に受粉に利用して殺していると考えられていた植物が、実は一部の昆虫の産卵場所になっていたことが分かったと、神戸大の末次健司教授らのチームが22日までに発表した。「墓場」が「揺り籠」でもあったという隠れた共生関係が初めて明らかになった。

 この植物は、受粉のためにキノコバエ類を犠牲にすることで知られる「テンナンショウ」の一種の「ナンゴクウラシマソウ」。

 チームは21〜23年、鹿児島県・屋久島で寄ってくる昆虫を観察。雌の株に最も多く閉じ込められていたのは「イシタニエナガキノコバエ」で、死骸の他に、卵が産み付けられているのを発見した。