別の雄と戦って繁殖相手の雌とペアになるか、戦わず雌にこっそり近づいて繁殖するのか―。ヤリイカの雄の繁殖方法が、ふ化した時期の違いによって決まっていることが分かったと、東京大のチームが17日までに発表した。

 チームによると、「誕生日」が繁殖方法の決定に影響することは、これまでハゼの仲間など魚類3種で分かっていた。無脊椎動物のヤリイカで確認されたことで、他の生物でもみられる生態の可能性があるとしている。

 ヤリイカの寿命は約1年。雄には、体が大きく他の雄と戦って雌と交尾する機会を得るタイプと、体が小さくて戦いを避けつつ他の雄と雌のペアにこっそり割り込んで繁殖するタイプがいる。

 チームは約200匹のヤリイカの「日齢」と体の大きさを調べた。頭部にある平衡石には1日ごとに年輪のような筋が刻まれ、ふ化した時期が分かる。

 戦うタイプの雄のふ化は4月上旬〜7月下旬、戦わないタイプは6月上旬〜8月下旬だったことが判明。どちらも生後100日ごろまでは同じように成長し、大きさの違いはそれ以降に生じていた。