ロシア国防省は21日、ウクライナ侵攻の拠点となっている南部軍管区で戦術核兵器の使用を想定した演習の第1段階を開始したと発表した。戦術核の使用も辞さない姿勢を示すことで、ウクライナへの軍事支援を続ける欧米をけん制する狙い。

 国防省は、軍最高司令官であるプーチン大統領の指示により、欧米首脳らの「挑発的発言や脅迫」に対応して領土と主権を守るのが目的だと説明した。「非戦略核兵器」の部隊と装備の即応性を保つとしている。

 核弾頭搭載可能な弾道ミサイル「イスカンデル」の部隊が「特殊な弾薬」を装備して指定の地域に秘密裏に移動する訓練や、空軍部隊が極超音速ミサイル「キンジャル」などに「特殊な弾頭」を装備して出撃する訓練を実施。イスカンデルやミグ31戦闘機が演習に参加する映像も公開した。

 国防省は今月6日、戦術核使用を想定した演習の準備に入ったと発表。プーチン氏は9日の対ドイツ戦勝記念日軍事パレードで演説し「戦略部隊は常に戦闘準備ができている」と述べていた。