【テヘラン共同】イランのライシ大統領が死亡したヘリコプター墜落事故で、軍と革命防衛隊の調査チームが初期段階の報告書をまとめたことが22日、分かった。パイロットが分厚い雲の中で「視界ゼロ」に陥り、雲から抜け出そうと高度を上げたが、山に激突した。事前に悪天候の予報も出ていたが、大統領の予定を優先し、一行が飛行を決断していた。事故の詳細が明らかになるのは初めて。

 報告書の内容を共同通信が確認した。調査チームは20日に事故現場に入り、調査を開始した。関係者への聴取や機体の残骸を調べている。

 報告書によると、事故前日18日、政府の気象予報機関は気象条件が飛行に「適していない」と指摘し、当日19日も同様だった。ライシ師がアゼルバイジャン国境地帯で行われる共同開発ダムの落成式に出席するため、ヘリはまず、北西部タブリーズからホダアファリンまで飛行した。

 落成式後、空はより分厚い雲に覆われていたが、ライシ師にはタブリーズで行われる式典に出席する次の予定が組まれていた。このため大統領一行はヘリでタブリーズに戻ると決断した。