【北京共同】中国軍傘下研究機関の研究員らが米スペースX社の衛星通信網「スターリンク」に関し、台湾や周辺での通信能力を詳細に分析していたことが25日、専門家向け論文で分かった。スターリンクは民間のインターネット接続サービスだが戦場で利用が進んでおり、研究は台湾有事の際の米軍介入を念頭に置いているとみられる。高速通信や情報収集、偵察の性能が突出しているとみて警戒。米国の軍事力を高めるスターリンクへの対処で「中国は厳しい試練に直面する」と結論付けた。

 中国軍は23日から2日連続で台湾を包囲する演習を実施し、頼清徳新政権を威嚇。日本や米国をけん制する狙いもあり、台湾海峡の緊張は一段と高まっている。

 中国の習近平国家主席は宇宙関連システムの建設推進とサイバー空間の防衛能力強化を軍関係者らに求めてきた。軍は4月、現代戦への備えとして軍の情報システムを統括する情報支援部隊を創設。「中国版スターリンク」構築も急いでいる。