ロシアのプーチン政権が、ゼレンスキー・ウクライナ大統領の任期は終わり国家元首としての正統性を失ったと主張し、圧力を強めている。停戦交渉再開を拒否する同氏が相手では侵攻作戦が一層長期化するとみて、ウクライナや欧米の世論を動揺させ政権交代を促す狙いとみられる。

 ウクライナ大統領の任期は5年。ゼレンスキー氏の任期満了は今月20日だった。しかし戒厳令下の選挙は禁じられており、本来3月末のはずだった大統領選は実施されていない。

 プーチン大統領は今月24日のミンスクでの会見で、ロシアは停戦交渉に応じる用意があると繰り返した上で「誰と交渉するか考えるのは無意味ではない。われわれの理解では今の国家元首は正統性を失ったからだ」と述べた。

 またウクライナが提唱する「平和の公式」協議のためスイスで来月開かれる「世界平和サミット」の目的の一つは欧米などがゼレンスキー政権継続の妥当性を確認することにあると主張。「そんなPRに法的意味はない。停戦合意を結ぶなら、誰が正統な権力者かをはっきりさせる必要がある」と強調した。