神足落語研究会(京都府長岡京市)は落語愛好家が集い、長岡京市など乙訓地域を中心に「寄席」を開催している。毎年春と秋にJR長岡京駅前のバンビオ1番館(神足2丁目)で行う「駅前寄席」は、4月に20回目の節目を迎えた。高座から市民に届けるのは、笑いと人情だ。

 研究会は愛好家数人が集まって結成され、2012年から活動している。当初は客も多くなかったというが、先の駅前寄席は130人を超える来場者で、部屋がいっぱいになった。寿亭竜治こと山本治会長(76)は「お客さんに『よかったよ』と声をかけてもらったり、『次はいつ?』と尋ねてもらったり。楽しんで帰ってもらえるとうれしい」と語る。

 会員が集まっての練習は月に1回で、それ以外はプロの落語家のCDやテープを聴くなどして研究。「同じ演目でも噺(はなし)家さんによって全く違う。あるプロも言っていたが、話をする時の『間』の取り方やメリハリが大事」(山本さん)と一人一人が技を磨いている。研究会主催の駅前寄席以外にも敬老会や町内会、高齢者福祉施設などに依頼を受けて赴く「出前寄席」を行い、昨年は21回を数えた。

 一方で、最近は会員の高齢化が悩みの種。さらに、新型コロナウイルス禍で声を出す活動は制約を受けた。コロナの感染症法上の5類移行から1年過ぎ、「少しずつだが、社会も元の状態に戻りつつある」と感じている。

 それだけに、山本さんは力を込める。「やっぱり若い会員に入ってもらいたい。駅前寄席も(5年後の)30回を目指しているし」。落語の楽しみを届ける取り組みが、さらに広がるよう願っている。