来年で介護保険法施行から25年。思い切った制度の改革を検討すべきではないか。

 厚生労働省は、65歳以上の高齢者が2024〜26年度に支払う介護保険料の基準月額が全国平均で過去最高の6225円になったと発表した。

 前期の21〜23年度より3・5%増え、介護保険制度が導入された00年度と比べて2・1倍に膨らむ。

 京都府内では過半数の14市町村で値上げとなり、平均で6608円と過去最高を更新した。京都市は7160円。全国の政令市では大阪、堺に次いで3番目に高い。滋賀県は5979円だった。

 介護保険の財源は、40歳以上の人が支払う保険料と、税金で折半する。介護サービスの提供量の増減が保険料に連動する仕組みだ。

 厳しい財政状況で、どの自治体も保険料の上昇幅を抑制するために頭を悩ませている。大津市は基金を取り崩して保険料を10%減額した。物価高が進む中での負担増を回避したという。

 だが、今回は値上げを見送った自治体も今後は要介護認定者が増え、保険料引き上げは避けられないとみている。

 25年には団塊の世代が全員75歳以上となる。自治体レベルでの介護予防の工夫や普及は一段と重要になろう。

 厚労省は制度の維持に向け、負担増と給付抑制の策を幾度も講じてきた。先月からは保険料負担の所得区分を9から13に増やし、所得の高い高齢者の保険料率を引き上げ、低所得者の料率を下げた。

 昨年は、利用料が2割負担となる人の対象範囲を拡大する案も検討されていたが、衆院選を意識する与党の反対で先送りされた。

 介護サービスの需要が増大する一方で、担い手である介護職場の人材不足は深刻化している。

 国の推計では、40年度には新たに60万人以上の介護職員が必要になるという。人材確保策として、厚労省は本年度の介護報酬改定で1・59%引き上げを実施した。

 ただ、介護報酬の引き上げは、保険料や利用者負担の増額にはね返ってしまう。

 介護職員の賃上げのため、政府は補助金でかさ上げしているが、それでも平均給与は全産業平均より月7万円ほど低い。

 介護保険料と利用料のあり方など財源の確保や、担い手の処遇改善など、制度の持続性をどう図るか。政府・与党はもとより、野党も具体策を示し、議論を深めてほしい。