グリーンアスパラガスの栄養ポイントを解説

 一年を通して手に入りやすくなった「アスパラガス」ですが、国内産の露地栽培ものの旬は5月から6月の初夏。この記事では、特に多く市場に出回っているグリーンアスパラガスの栄養や効果アップの食べ合わせについて解説します。

▲アスパラギン酸をはじめ栄養とうまみは、穂先に多く含まれています。

●アスパラギン・アスパラギン酸
アスパラガスの代名詞ともいえる成分。どちらもアミノ酸の一種で、アスパラガスから発見されたことから“アスパラギン”と名づけられました。アスパラギンにはエネルギー代謝を促して持久力をアップさせる働きがあり、アスパラギン酸には疲労回復や体内のアンモニアの無毒化、中枢神経系を守る働きなどがあります。アスパラギン酸はスポーツドリンクや栄養ドリンクに配合されていることも多く、みそやしょうゆなどの発酵食品に含まれるうまみ成分でもあります。

●ルチン
穂先に多く含まれているポリフェノールの一種。ビタミンCと協働して毛細血管を丈夫にしたり、血圧の上昇を抑えたりする働きがあり、高血圧や動脈硬化の予防効果が期待されています。グリーンアスパラガスにはビタミンCも含まれ、ルチンがビタミンCの吸収を促進することからも一石二鳥といえそうです。

●グルタチオン
3つのアミノ酸が結合した抗酸化物質で、アンチエイジングの強い味方。私たちの肝臓や皮膚にも含まれていますが加齢や紫外線の影響で減少しやすく、不足すると疲れや肝機能の低下、肌荒れなどを招く可能性も。このグルタチオンも穂先に多く含まれています。

●ビタミンA(β-カロテン)・ビタミンK
体内でビタミンAに変化されるβ-カロテンが豊富なことも、グリーンアスパラガスの特徴。骨と血液の健康を保つビタミンKも多く含まれています。どちらも脂溶性ビタミンなので、油を使った調理をして食べると栄養の吸収率が高まります。

アスパラガスのイメージ。

栄養効果アップの食べ合わせ

以上の栄養ポイントを踏まえ、どんなときに、どんな食べ合わせをすれば効果的かを考えてみました。参考にしていただけたらうれしいです。

<食べ合わせ-1->
・スポーツや運動をする前後
・疲れやすい、疲れがぬけないとき

疲労回復をサポートするビタミンB1を多く含む食品(豚肉、ボンレスハム、玄米など)とのペアリングがおすすめ。アスパラギン酸の機能性との相乗効果でより強力なスタミナ補強が期待できそうです。スポーツ好きの子どもさんや仕事が忙しいご家族のお弁当にも取り入れてみてはいかがでしょうか。

▲豚肉×アスパラの組み合わせは疲労回復のお助けメニュー。アスパラガスの下ゆでなしで、豚肉と一緒に蒸し焼きにすればOK!

・献立例:豚肉のアスパラガス巻き、アスパラガスとハムの混ぜごはん(玄米)やおにぎりなど

<食べ合わせ-2->
・肌荒れが気になるとき
・朝ごはんでリセットしたいとき
・お酒を飲むとき

▲バーベキューが恋しい夏。ビタミンC豊富なアスパラガスやパプリカなどの夏野菜をグリルしてビタミン補給を。

 ビタミンCとたんぱく質の多い食材と組み合わせることでコラーゲンの合成が促され、美容効果がアップします。朝ごはんにもおすすめの組み合わせ。ビタミンCが豊富なのはパプリカ、じゃがいも、ブロッコリー、レタスなど。たんぱく質は、肉、魚、卵、チーズ、豆腐などに多く含まれています。ビタミンCとグルタチオンの両方に肝臓の解毒作用を助ける働きがあるので、お酒を飲むときの一品選びとしてもお役立てください。

・献立例:アスパラミラネーゼ(アスパラガスのミラノ風)、アスパラガス入りのサラダやジャーマンポテト、アスパラの白和え、ちくわのアスパラ詰め、夏野菜のグリルなど

▲蒸し焼き(またはグリル)のアスパラガスと半熟卵、粉チーズのマリアージュがたまらない、朝ごはんにおすすめのアスパラミラネーゼ

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、板木利隆監修『新・野菜の便利帳 おいしい編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009、上西一弘ほか監修『健やかな毎日のための栄養大全』NHK出版,2022、NHK第3制作ユニット(科学)ほか編『NHKガッテン! 旬ごとの得ワザ満載 一流料理人37人が協力! 「食材の新常識」おかず150』主婦と生活社,2021

(野村ゆき)