アスパラガス選びのチェックポイント

 今が旬の「アスパラガス」について、選び方や下ごしらえんいついて「どれがおいしいの?」「根元はどこまで切る?」「ゆでるときの塩加減は?」などと迷ったことはありませんか。この記事では、そんな素朴な疑問を少し掘り下げてみたいと思います。

 鮮度のいいアスパラガスを見分けるポイントは以下の通りです。太さ、穂先、根元、色に注目して選ぶようにしましょう。

・太さが均一で、茎が細すぎない
・穂先がピンと締まり、曲がっていない
・根元の切り口が変色していない
・緑色が濃い(グリーンアスパラガスの場合)

 なお、アスパラガスに雄株(オス)と雌株(メス)の違いがあることを、ご存じでしょうか? 穂先にすき間があり筆のように細長い形をしているのがオスで、穂先がキュッと締まり丸みのある形をしているのがメスなのだそう。成長点である穂先に栄養やうまみ成分が多く含まれているので、穂先がふくよかなメスの方がおいしい可能性が高いです。筆者が野菜売り場で確認したところ、オス・メスを見分けるのは難しく、上記の目利きポイントを教えていただきました。なお、同じ品種のアスパラガスが並んでいる場合、「太いものほど筋が少なくて、おいしいよ」とのことでした。ご参考まで。

▲野菜売り場のアスパラガス。正直、オス・メスの見分けは難しいです。

栄養を損ねない保存方法

 スーパーなどでアスパラガスが立った状態で並んでいる光景を目にしますが、このことには理由があります。横に寝かせると、穂先に多い驚異的な成長パワーを持つアスパラギン酸が、穂先を起こそうとして自分自身の養分を消耗してしまい、うまみが半減。食感も筋っぽくなってしまいます。

▲こんな感じで空の牛乳パックを活用すれば、立てて保存しやすいです(切り口でケガしないよう紙テープで保護しています)

 家の冷蔵庫(野菜室)で保存するときも、立てた状態がベスト。空の牛乳パックやペットボトルを活用し、立てた状態で保存しましょう。開封後や袋入りではないアスパラガスは根元部分に湿らせたキッチンペーパーをあてて、ポリ袋やラップで巻いて空気に触れないようにして立てて保存を。

▲フライパンで蒸し焼きすれば、使う水の量が少ないので水溶性の栄養の流出も少なく済みます。

下ごしらえのコツ&時短でおいしい蒸し焼きレシピ

 アスラガスの下ごしらえで、迷いやすいのが根元の処理ではないでしょうか。筆者は栄養士養成校の調理実習で「ポキッと折れるところで根元を切って捨てる」「根元から5センチ程度の皮をピーラーや包丁でむく」と教わりましたが、内心「もったいない」「もっとラクな方法はないかな」と感じてきました。実際に色々と試して、食品ロスをできるだけ減らし、ラクにおいしく仕上がる下ごしらえポイントをご紹介しますので、参考にしていただけたら幸いです。

<下ごしらえのコツ>
・根元を1センチ程度切り落とす
・根元3センチ程度の皮とハカマをピーラーでむく(根元3センチに細かい切り込みをたくさん入れて筋を断つ方法もありますが折れやすいです)

<蒸し焼きポイント/アスパラガス10本分>
(1)1本そのまま入りやすいフライパンを使う
(2)アスパラガスをフライパンに並べて火にかけ、オリーブオイルをひと回し
(3)大さじ2〜3の水を回しかけ、フタをして3分程度蒸し焼きに
(4)水気がなくなりアスパラガスに竹串を刺してスッと通ったらOK。仕上げにバター小さじ1〜2加えて転がすように和えて完成! 好みで塩・こしょう・粉チーズをかけてもおいしいです。

▲アスパラガスの皮にも栄養とうまみがあります。蒸し焼きやゆでる際に、取り除いた皮も加えると香りがアップし、食品ロス対策にも。

 旬の時期に売られているグリーンアスパラガスは鮮度がよく、調理しやすいよう根元をある程度カットしてあるので、捨てる部分はほとんどないと私は思います。

▲ミニアスパラガスの場合は、下処理ほぼ不要(根元を数ミリ切る程度)。そのままフライパンでサッとバター炒めするだけで、おいしいです。

 ただし、ホワイトアスパラガスについては皮の筋が口に残りやすいので穂先の下から全体の皮をピーラーでむくと食感がよくなります(取り除いた皮は、蒸し焼きやゆでる際に加えると香りがアップします)。

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、板木利隆監修『新・野菜の便利帳 おいしい編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009、NHK第3制作ユニット(科学)ほか編『NHKガッテン! 旬ごとの得ワザ満載 一流料理人37人が協力! 「食材の新常識」おかず150』主婦と生活社,2021、藤田智編著『野菜づくり大図鑑』講談社,2013

(野村ゆき)