まさに山紫水明という表現がふさわしい道志川沿いの森の中に、新しいキャンプ場がオープンした。広々としたスペースでゆったりとした時間を過ごすことができるだけでなく、そのコンセプトから提供するサービスの内容まで、新しいスタイルのキャンプが楽しめる施設だ。<br/><br/>※緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の解除後の外出をお願いします<br/>

まさに山紫水明という表現がふさわしい道志川沿いの森の中に、新しいキャンプ場がオープンした。広々としたスペースでゆったりとした時間を過ごすことができるだけでなく、そのコンセプトから提供するサービスの内容まで、新しいスタイルのキャンプが楽しめる施設だ。

※緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の解除後の外出をお願いします

何を持って行かないかを考える

明治の昔、横浜港で船積みされた道志川の水は、「赤道を越えても腐らない」と、世界中の船乗りから称賛されたという。いまでも道志川の水は、水底の石の形がはっきり分かるほど透き通り、時折身を翻す渓魚の鱗が、きらりと太陽の光をはね返す。

この道志川沿いの森の中に、2021年3月にオープンしたのが「水源の森 キャンプ・ランド」だ。

東京の都心から約2時間のドライブで「水源の森 キャンプ・ランド」に到着する
東京の都心から約2時間のドライブで「水源の森 キャンプ・ランド」に到着する

「キャンプ場の聖地」と呼ばれるほどキャンピング施設の数が多い山梨県道志村にあって、キャンプ・ランドは個性が光る存在だ。まずそのコンセプトは、「何を持っていくかを考えるより、何を持って行かないかを考える場所」というもの。キャンプ道具や調理器具はすべてレンタルすることができるので、手ぶらで訪ねてもアウトドア体験が楽しめるというのだ。

道志の美しい自然が目と鼻の先にある

キャンプというと、ともすれば荷物を運ぶことに意識が集中しがちになる。そうではなく、リラックスして豊かな時間を過ごそうという提案なのだ。

このコンセプトは、「水源の森 キャンプ・ランド」のディレクションを務めた小林節正氏が考案したもの。アウトドアを楽しむためのウェアやギアを手掛ける「MOUNTAIN RESEARCH」の代表である小林氏が、15年にわたって長野県の山深い土地で暮らした経験を注ぎ込んだのがこのキャンプ場なのだ。

今回、キャンプ・ランドを案内してくれたPRの勝山龍一氏

道志村には珍しい開けた景観

このキャンプ施設は、以下の6つのスタイルのキャンプサイトで構成されている。

「OPEN FIRE(8サイト)」「GREEN GRASS(6サイト)」「CAMPING CAR(2サイト)」「CABIN(4棟)」「DOG RUN(1サイト)」、そして「NORDISK TENT(1サイト)」。

道志には珍しく、頭上に空が開けるのも大きな魅力。こちらはGREEN GRASSサイト
四方の壁をキャンバス地で覆った木造のキャビン

それぞれを簡潔に紹介すると、まず「OPEN FIRE」は、砂利が敷かれた敷地に直火炉が設置されているのが特徴。最近は直火を禁止するキャンプ場が多いが、このサイトでは直火での焚き火や調理が可能となる。1つのサイトの面積が140平方メートルと広々としているのも特記事項で、密を避けてゆったりと過ごすことができる。

「GREEN GRASS」は芝生のクッションを楽しめるサイト。やはり1サイトあたりの面積が120平方メートルと余裕がある。また、道志村のキャンプ場は森の樹木に囲まれるシチュエーションが多いが、このサイトは開けた場所に位置し、抜けのよい景色と広い空が楽しめるのも特徴だ。

「CAMPING CAR」は、キャンピングカーはもちろん、オートサイトとして利用することも可能で、車中泊をする宿泊客もいるという。PRの勝山龍一氏によれば、「空が広く見えるため、天体観測にお薦めの場所」とのことだ。

「CABIN」はしっかりとした屋根を備え、四方をキャンバスで覆ったキャビン。ログハウスとテントの中間といった趣だ。初心者向きかと思えば、意外やアウトドアのベテランからも、「これくらいが気軽でいい」と好評だという。

キャンプ・ランドのスローガンでもある「HOLIDAY IN THE MOUNTAIN」の文字が見える

高すぎず、低すぎず、絶妙な高さの白いフェンスに囲まれた「DOG RUN」は、180平方メートルの敷地を愛犬が走り回ることができる。全22のキャンプサイトの中でも最も奥まった静かな場所に位置し、道志川にも近い。非常に人気が高いサイトで、今後は「DOG RUN」の増設も視野に入れているとのことだ。敷地内には3棟の水場があり、無料で使えるシャワーも設置されている。

シュラフからダッチオーブンまで、こだわりのレンタルギア

施設の中心であるクラブハウスも、「水源の森 キャンプ・ランド」の見どころの一つだ。山小屋を思わせる雰囲気の屋内には、東京・中目黒の書店「COW BOOKS」がセレクトした登山やアウトドア関連の書籍や、「MOUNTAIN RESEARCH」が手掛けたアウトドア用品が並ぶ。木製の調度品は東京・調布の建材屋「ティンバークルー」の作品で、国内最大サイズだという火皿の赤々とした炎の熱を感じながら、さまざまな角度からキャンプや森の文化を体感することができる。

施設の中心であるクラブハウス
クラブハウス内にある国内最大級の火皿。その存在感は圧巻だ

クラブハウスでレンタルするキャンプ道具も凝っている。たとえば「MOUNTAIN RESEARCH」がスノーピークに別注したステンジャグやバーナー、コールマンのフリースライニングシュラフ、あるいはロッヂのダッチオーブンなど、一度は使ってみたい、試してみたいというこだわりのアイテムを揃えている。

「13時」がてっぺんにある不思議なコンセプトの時計。針も反時計回りに回っている

また、クラブハウスで販売する食材も、ピエール・エルメのサラダドレッシングや、赤坂にある完全予約制のレストラン「あめつち」と共同で開発したキャンプ飯ミールキット(要予約)など、これまでのキャンプ場とはひと味違う品揃えだ。

実は「水源の森 キャンプ・ランド」の敷地は、かつて道志村が運営したレジャー・学習施設の跡地で、クラブハウスも当時の建物をリノベートしたものだという。このキャンプ施設が提供するサービスも斬新であるけれど、スクラップ&ビルドではなく、かつての資産をリユースするというコンセプトもいまの時代にふさわしいと感じた。

壁には「COW BOOKS」がセレクトした書籍や、「MOUNTAIN RESEARCH」が手掛けたアウトドア用品が並ぶ

クラブハウスの隣には、かつては野外音楽堂として使われた施設が残っていて、その壁面はボルダリングのウォールに改築されている。しかもウォールを設置するにあたっては、クライミングの元日本代表選手に監修を依頼したというから驚く。

隅から隅までこだわったこの施設から感じるのは、アウトドアを愛する人がアウトドアが好きな人のためにつくった、ということだ。プロデュースした小林氏の顔が見えるキャンプ場だと言い換えてもいいだろう。オープンからまだ日は浅いが、予約困難になる日はそれほど遠くないはずだ。

■水源の森 キャンプ・ランド
山梨県南都留郡道志村馬場5821-2
問い合わせ:info@campcrew.co.jp
https://www.doshisuigen-mori.com/
インスタグラム:@campcrew_official
Tel.070-2673-1122

料金:1泊あたり 平日/休日(カッコ内はソロ料金)
「OPEN FIRE(6サイト)」1万1000円/1万6500円(5500円/8800円)
「GREEN GRASS(6サイト)」1万1000円/1万6500円(5500円/8800円)
「CAMPING CAR(2サイト)」1万1000円/1万6500円(5500円/8800円)
「CABIN(4棟)」8800円/1万3200円(5500円/8800円)
「DOG RUN(1サイト)」1万1000円/1万6500円(5500円/8800円)
「NORDISK TENT(1サイト)」2万2000円/3万3000円 (2万2000円)

Text by Takeshi SatoPhotographs by Sonnzinn (amana)