「論理」と「直感」は最適にミックスする。ニュータイプの思考法

「論理」と「直感」は最適にミックスする。ニュータイプの思考法

20世紀の後半から21世紀の初頭にかけて高く評価されてきた、従順で、論理的で、勤勉で、責任感の強い、いわゆる「優秀な人材」は、今後「オールドタイプ」として急速に価値を失っていくことになるでしょう。

一方、このようなオールドタイプに対置される、自由で、直感的で、わがままで、好奇心の強い人材=「ニュータイプ」が、今後は大きな価値を生み出し、評価され、本質的な意味での「豊かな人生」を送ることになるでしょう。(「はじめに 『20世紀的優秀さ』の終焉」より)。

著者によれば、これが『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』(山口 周 著、ダイヤモンド社)に込められたメッセージ。

ここでは旧態依然とした思考・行動様式を「オールドタイプ」と位置づけ、対極にある新しい思考・行動様式を「ニュータイプ」として提示しているわけです。

具体的にいえばニュータイプとは、以下のような思考・行動様式を持った人物なのだとか。

Image: 『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』(山口 周 著、ダイヤモンド社)

このような考え方をもとにした本書の第4章「ニュータイプの思考法ーー論理偏重から論理+直感の最適ミックスへ」のなかから、きょうは8「『直感』が意思決定の質を上げる」に注目してみたいと思います。

Pushニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式

1,728円

論理か直感か

意思決定における「論理」と「直感」に関する著者の問題意識をシンプルに表すなら、「企業の意思決定があまりにも論理偏重に傾くとパフォーマンスは低下する」ということになるのだといいます。理由は大きく3つ。

1つ目は、過度な論理思考への傾斜が招く「差別化の喪失」。

これまで分析的で論理的な情報処理スキルはビジネスパーソンに必須とされてきましたが、正しく論理的・理性的に情報処理をするということは、人と同じ「正解を出す」ということでもあります。

だとすれば必然的に「差別化の喪失」という問題を招くことになるわけです。

2つ目は、分析的・論理的な情報処理スキルの「方法論としての限界」。

複雑で曖昧な世界において、あくまで論理的・理性的に意思決定をしていこうとすれば、いつまでも合理性を担保することが困難になり、意思決定は膠着するということ。

そして3つ目は、論理では「意味をつくれない」という問題。

現在の世界では「役に立つ」よりも「意味がある」ことのほうに高い経済的価値が認められています。

「役に立つ」ということは明確化された問題に対して解決策を提供するということなので、論理や分析が大いに力を発揮することになります。

ただし、「意味がある」という市場において価値を生み出すことは不可能。ゼロからイチを生み出す「意味の創造」は、論理でどうこうできる問題ではないということです。(144ページより)

論理と直感をしなやかに使いこなす

ただしそれは、「だから論理ではなく直感で」ということではないそうです。

著者が主張しているのは「論理と直感を状況に応じて適切に使いこなす」というしなやかさが必要だということで、そんな思考様式を発揮するのがニュータイプなのです。

たとえば原因と問題の因果関係が明確で、情緒的な差別化が求められない局面であったとしたら、それは論理で解けばいいだけのこと。わざわざ直感に頼る必要はないわけです。

逆に「意味」が非常に重要な局面においては、いたずらに論理を積み重ねたところで良質なアプトプットは得られません。

両者の問題解決アプローチにはそれぞれ一長一短があり、どちらかだけを用いるべきだと断定することはできないということです。

なお、ここで引き合いに出されているのは、経済学者のダニエル・カーネマンと共同研究者のエイモス・トヴェルスキーによる「二重過程理論」。

人の脳では外部からの刺激に対し、大きく2種類の意思決定の過程(システム)が同時に、異なるスピードで起きるというのです。

そしてこの2つの異なるシステムを、カーネマンらは「システム1(直感)」と「システム2(論理)」として次のように説明しているそうです。

「システム1」は自動的に高速で働き、努力はまったく不要か、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。「システム2」は、複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連づけることが多い。

ーーダニエル・カーネマン『ファスト&スロー 上』 (147〜148ページより)

これら2つのシステムには対置されるようなイメージがありますが、実際には同時に機能させることが可能。

つまり高いパフォーマンスを上げるためには、システム1(直感)とシステム2(論理)をバランスよく使うべきだということです。(146ページより)

相対的に「直感」が重要な時代

論理と直感をバランスよく使いこなすためには、重要なポイントがあるそうです。

それは、どのような局面において、直感と論理のどちらを意思決定に用いるべきかという意思決定、すなわち「メタ意思決定」。

これを間違えてしまうと、論理思考で有効な答えが出せる局面で、直感を用いて的外れな回答を出してしまったり、創造的な解が求められているのに論理を用いて陳腐な回答を出してしまうというようなことになってしまうということです。

そして、そういう意味において有力なのがニュータイプ。

なぜならオールドタイプがかたくなに論理的であろうとするのに対し、ニュータイプは状況に応じて論理と直感をしなやかに使い分けるから。

だとすれば気になるのは「論理」と「直感」を使い分ける際の判断の立脚点ですが、そのことについては2つの着眼点が提示されています。

1つ目は、先述した「役に立つ」と「意味がある」というフレーム。

「役に立つ」という方面でパフォーマンスを高めたいなら、主軸となるのは「論理」。

一方、「意味がある」方向でパフォーマンスを高めたいのであれば、センスに代表される「直感」が決め手になるということです。

2つ目は、「希少なものと過剰なもの」という対比。「希少なもの」の価値は高まり、「過剰なもの」の価値は減るため、「論理」と「直感」を比較してみた場合、双方が生み出すものが「過剰なもの」なのか「希少なもの」なのかを考えることが必要になるわけです。

なお現在の世界においいぇ「なにが過剰」で「なにが希少」なのかを対置して整理すると、次のようになるそうです。

Image: 『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』(山口 周 著、ダイヤモンド社)

「過剰なもの」が「論理と理性」によって生み出されているのに対し、「希少なもの」は「直感と完成」によって生み出されていることがわかります。

つまり現在の世界において「希少なもの」を生み出したいのであれば、「直感と完成」を駆動せざるを得ないということ。

かつて、ここに「過剰なもの」として挙げられている項目は「希少なもの」でしたが、今日ではその関係が逆転し、かつて希少だったものはことごとく過剰になりつつあるといいます。

だとすれば、依然として論理だけに主軸を置いて意思決定をはかろうとするオールドタイプの思考様式を続けていたのでは、すでに過剰になっているものを生み出すことになり、必然的に人材と組織のコモディティ化を招くことになるというのです。(148ページより)

Pushニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式

1,728円

このような「思考法」のみならず、他にも「価値創造」「競争戦略」「ワークスタイル」「キャリア戦略」「学習力」「組織マネジメント」と、さまざまな角度からニュースタイルのあり方が紹介されています。

新たな時代を生き抜くために、ぜひ読んでおきたいところです。

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Photo: 印南敦史

Source: ダイヤモンド社


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