Z世代を中心にレトロテックが再注目されているそうです。
理由は、デジタルネイティブである彼らがSNSを介した常時コネクトに疲弊して、「今」に重きを置いたコミュニケーションの原点回帰をしているから。
インフルエンサーを中心にSNS疲れしている人たちが、情報と人間関係を強制シャットダウンする方法の1つとして、スマホと距離をおき、ガラケーに立ち返っているとのことでした。

私は、そんな彼らのトレンドを記事にしたのをきっかけに、自分のレトロガジェットコレクションから第4世代iPod nano(2008年)を引っ張り出してみることにしたのです(第4世代と第5世代iPodのバッテリーは完全にご臨終していて電源すら入りませんでした…)。
消えて久しいイヤホンジャック。カチッとハマる音と感覚ががうれしい

第4世代のiPod nanoにBluetoothはついていないので、当然有線イヤホンをイヤホンジャックに差し込みます。

指先に伝わるカチッとハマる音と感触、有線イヤホンのワイヤーが絡まるのを煩わしく感じつつも両耳にはめ込む動作。
音楽が流れると、一瞬で若かりし頃にタイムスリップしたようでした。
「盛れない」カメラが人気? Z世代の苦悩と「レトロテック回帰」が止まらない理由 #TrendBuzz | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2301-tb-retro-z-gene/
過去の自分がつくったプレイリスト。音楽は記憶を蘇らせる

筆者のプレイリストを見ると、愛して止まないクラシック音楽や映画のサントラ、20歳で日本を離れる直前に購入した浜崎あゆみのベストアルバム、TOEICの単語とリスニングの勉強に使っていた音声などが入っていました。
擦り減るほど聴いたので、取り込んだオリジナルのCDは手放してしまったものばかり。ストリーミングのアルゴリズムが選んだ、「あなたが好きそうな音楽」と異なる、過去の自分が厳選してつくった、世界に1つだけのプレイリストです。
そうした音楽を約15年振りに聞くと、新しいというか、懐かしいというか…。何時間も夢中になって思い出に浸ったり歌ったりしました。
そんなことをしていたら、これらを聴いていた頃の自分の野心や活力が蘇ってきたような気がしたのです。
昨今のように経済的にも厳しく、未来の展望も決して明るくない社会を生きていると、どうしても気持ちが暗くなってしまいがちです。気持ちを上げるのに苦労しますよね。
でも、昔に聴いていた音楽を、当時使っていたレトロガジェットで聴くと、楽観的に生きていた時代を思い出せたんです。
まさか、iPod nanoのプレイリストが活力復帰のトリガーになるなんて——。
「自分の原点」を思い出させてくれるレトロテック
また、最近は音楽が“ながらアイテム”になってしまい、以前よりも楽しめていないことに気づきました。
理由はいくつもありますが、サブスクなどで格安に得られるようになってしまったことや、音楽プレイヤーがスマホ機能の一部になったために、音楽を聞きつつネットサーフィンやメールチェックをするのが一般的になったことが挙げられます。
CD、レコード、ステレオも家から姿を消し、購入したCDを持ち寄って鑑賞会を開く機会もなくなりました。
音楽の価値そのものが自分のなかで低くなり、慌ただしさを言い訳にして、音楽を楽しむ時間を意識的に取らずにきてしまったようです。好きなピアニストの、丁寧だけど荒々しい旋律に感動して涙を流した繊細さは、テックの進化とともに消えてしまっていました。
私は、マルチタスクやコスパが重視される世の中にしがみつくのに、少し疲れていたみたいです。それを気づかせてくれたのが、かつてのレトロガジェットと音楽でした。

Z世代の人たちにとって、レトロテックは常時コネクトを遮断するためのアイテムと捉えられているようです。でも、そうしたテックとともに育って今があるミドルエイジ以上にとっては、レトロテックは活力を与え、大切なものを思い出させてくれるかもしれません。
充電できずにモバイルバッテリーとセットで使わなければならないiPod nanoですが、これからも大切に使おうと思います。
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