私たちはスピードを重視し、深さよりも広さを重んじる世界に生きています。しかし、静かな革命が起こりつつあります。それはスローワーク・ムーブメントと呼ばれています。

これはビジネス界で注目を集めており、特に持続可能な成功の道を模索する人々の間で広がっています。

生産性に対する理解が進化するなかで、ますます多くの人々が「速ければ速いほど良い」という考え方に疑問を抱くようになっています。

この、よりゆっくりとした慎重な仕事のペースへの移行は、単なる個人的な好みではなく、多くの革新的な企業にとって戦略的な動きでもあります。

この動きは、職場でのメンタルヘルスとウェルネスへの関心の高まりと密接に関連しており、単なる成果よりも仕事と生活の質により大きな価値を置く未来を示しているのです。

ではなぜ多くの企業が「スローワーク・ムーブメント」を採用しはじめているのかについて、具体的な動きやメリットを紹介します。

「効率」の概念を再評価する

「忙しいことが生産的である」という昔ながらの考え方は、産業資本主義の時代にさかのぼります。その時代にはどれだけ多くのものを生産できるかだけが重要であり、人にどれほどの負担がかかるかは誰も気にしていませんでした。

しかし、このアプローチは今日の企業環境では必ずしも成功につながるとは限りません。スローワーク・ムーブメントをリードする企業は、急ぐことを減らすことで、従業員の幸福度を高めるだけでなく、利益を向上させていることに気が付いています。

その一例が、シカゴを拠点とするプロジェクト管理およびチームコミュニケーションソフトウェア企業であるBasecampです。同社は労働文化に対する革新的なアプローチ、特にワークライフバランスに対する姿勢で知られています。

Basecampは2008年、給与を削減することなく、夏季に週32時間労働制を導入し、休暇とリフレッシュを優先する職場環境を促進しました。

戦略としての「持続可能性」

スローワーク・ムーブメントは持続可能性とも密接に関連しています。これは単なる環境への影響に関することではありません。環境への影響も確かに重要な部分ではありますが、人間への影響の観点から見て、長期的に持続可能なビジネスを構築することでもあります。

PatagoniaやEileen Fisherのような企業は、素材の調達方法だけでなく、従業員に働き方においても持続的可能な実践を長年積極的に推進してきました。

これらの企業は、革新と情熱を持続させるためには、従業員が自分のエネルギーを管理できることの必要性を理解しています。

従業員が休息をとったり、趣味を追求したり、ボランティア活動をしたりすることを奨励する環境を育むことが重要です。これにより、全体的な生産性と会社への忠誠心が向上します。

量よりも「質」を重視

スローワーク・ムーブメントは、量よりも質を重視していますが、この原則は製造業だけでなくサービス業にも当てはまります。

製造業においては、使い捨てではなく耐久性があり修理可能な製品を生産することを選択することを意味します。サービス業では、型にはまった解決策ではなく、思慮深く個別化されたサービスを提供することを意味します。

顧客の成果に焦点を当てるため、成功を計測する指標を請求可能時間から変更したコンサルタント会社を考えてみてください。これにより、満足度の高い顧客が増えるだけでなく、急ぐ必要がなくなったため、従業員も仕事により大きな意義を見出すとができます。

多くの経営者は、これが利益の減少につながると懸念するかもしれません。しかし、HR Lockerポッドキャストによると、2020年7月に完全に週32時間週労働制に切り替えたThe Wanderlust Groupは、より一般的である金曜日ではなく、月曜日を休みとすることにしたとのことです。この変更を行って以来、同社の収益は倍増しています。これは、週労働時間の短縮が与えるポジティブな影響の典型的な例です。

常時オンの人的コストを考え直す

スローワーク・ムーブメントのもっとも重要な側面の1つは、常時オンの労働文化への挑戦です。

従業員が常に働くことが可能で、いつでもメールに返信し、一つ業務を終えたら次の業務へと移ることが期待される状況は、個人の幸福と全体的な業務パフォーマンスの両方に悪影響を与えています。

業務時間に境界線を設定し、デジタルデトックスなどの実践を奨励していることから、企業は従業員が常時オンの状態であることが生産性を阻害することを認識していることが分かります。

従業員は、常にオンの状態であることを期待されていないときに、より良いパフォーマンスを発揮することができます。また、必要なときには仕事から離れて充電することを奨励されると、より良い結果を生み出します。

仕事からの断絶がメンタルヘルスと生産性にもたらすメリットを強調する研究が進んでいるため、この認識は広まっています。

スローワーク・ムーブメントは将来の仕事のあり方を象徴する

将来を見据えると、スローワーク・ムーブメントの原則が次の職場文化の波を定義するように思われます。はっきりさせておくと、スローワーク・ムーブメントは仕事を減らすことではなく、より良く働くことです。

つまり知的財産や企業資本だけでなく、企業がもっとも依存している人的資源である従業員を大切にすることです。

スローワーク・ムーブメントの価値を理解しているリーダーは、業務プロセスをより意図的に再設計し、あらゆる形で持続可能性を推し進めます。そして長期的な成功を収めるためには従業員の幸福を考慮する必要があるという認識にもとづき、スローワークの原則を実践しているのです。

あきらかなのは、仕事の未来はもっとも速く働ける人にかかっているかもしれませんが、同時にもっとも賢く働ける人にもかかっているということです。

スローワーク・ムーブメントを受け入れることが、より健康的で持続可能、そして充実した成功への道を切り開く鍵となるかもしれません。このアプローチは個人に恩恵をもたらすだけでなく、組織全体をより豊かでストレスの少ない未来へと導くことができるのです。

「仕事が楽しくない…」自分を幸せにするキャリアを手にするための5つの質問 | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2406-5-questions-to-ask-yourself-in-order-to-be-happier-at-work/

今「スタートアップ」で働く意義とは?日本最大級スタートアップ支援会社代表が語る日本企業のこれから | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2405-blt-report-38-shimizuyuichiro/

Source:basecamp.com, YouTube

Originally published by Fast Company [原文]

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