好奇心という概念は、単純な感じがします。

しかし、好奇心とは何か、どうすれば好奇心を育むことができるのか、特に職場で好奇心を高めるにはどうすればよいのか考えだすと、一筋縄ではいきません。

職場で好奇心を持つことは、明らかに良いことのようです。

結局、学ぶことや質問することに興味を持てば、より良い方法を見つけたり、新しい製品を考案したり、問題の解決策を見つけたりすることができるからです。

好奇心を抱くきっかけとなるものを再考し、好奇心に関連する習慣を身につけることで、この貴重な特性を身につけることができるかもしれません。

そのためのステップをいくつかご紹介します。

1. 自分が好奇心を持てる領域で仕事をする

カリフォルニア大学バークレー校の心理学助教授で、好奇心、注意力、認知発達などを研究しているCeleste Kiddさんは、次のように述べています。

「好奇心を人それぞれの個人差で考えるのではなく、個人の中に一瞬一瞬に存在するバリエーションと考えることもできます」と述べています。

そして、個人の中にあるそうしたバリエーションは、そのテーマに対する興味や知識によって変わるかもしれません。もちろん、個人差もあるでしょう。

幅広いテーマに好奇心を持っている人もいれば、興味の範囲は狭いものの深く掘り下げていくタイプの人もいるでしょう。また、そのテーマに対する理解度も好奇心に影響を与えるかもしれません。

重要な予測因子として知られているのが『不確実性』です。人間は何も知らないことには好奇心を持ちません。

例えば、理解できない言語で書かれた本を手に取ることはないでしょう。読めないからです。

逆に、あるテーマについて完全に確信を持っている場合、つまり、そのテーマについてすべてを知り尽くしていると確信すると、好奇心を無くす要因になります。

そのため、自分の知識の中で「中間領域」に位置するテーマ、つまり、ある程度の知識はあっても確信度は高くないテーマに最も興味を持つのかもしれません。

ラトガース大学ニューアーク校の研究班による最近の研究で、就学前の子どもたちにこの現象が見られることがわかりました。

『Science Daily』に掲載された研究概要によると、子どもたちは、「興味を持つには十分だが、つまらなくなるほど多くない」知識を得たときに、より多くの情報を欲しがることがわかりました。

2. 不確実性に対する不安感を管理する

同時に、脳は確実性を求めていると、学習開発会社Box of Crayonsの創業者であり、『The Coaching Habit: Say Less, Ask More, and Change the Way You Lead Forever』の著者であるMichael Bungay Stanierさんは付言しています。

私たちの脳は、進化的な理由から、「確実性が高ければ高いほど、生き延びる確率が高くなる」と考えています。

そのため、例えばパンデミックのようなストレスや激動の時代には、好奇心を維持することがより困難になるかもしれません。

そのため、同氏は、不確実性の渦に巻き込まれているときは、2つの重要な質問を自問して、自己管理のアプローチに移行することを勧めています。

自分がコントロールできることや影響を与えられることは何か?自分がコントロールできないことや影響を与えられないことは何か?

「このモデルから得られる重要な洞察は、私たちがコントロールできる範囲は思っているよりもずっと狭いということです。そして、自分が思っているよりもはるかに多くの影響力を持っているということです」とStanierさんは言います。

この違いに気づくことは、コントロールできないことに不満を感じて諦めることと、変えられないことを手放せることの違いになるかもしれません。

変えられないものをどうにかしようとするのをやめれば、「何かしなければならない」という不安を手放すことができます。

そうすれば、好奇心を持つ余裕が生まれます。

3. 好奇心旺盛な人たちが多い環境に身を置く

INSEADの組織行動学の准教授であるSpencer Harrisonさんは、集団の中にいるとき、特に集団的な問題や共通の関心事に直面しているときには、一人でいるときよりも好奇心が強くなる場合があると言います。

Harrisonさんは研究で、人間は自分と同じことに好奇心を持っている人と親しい関係や支援関係にあるときに、好奇心を持つ可能性が高いことを発見しました。

組織の中では、一人で好奇心を持つよりも、みんなで好奇心を持つことが多いのです。

新しい考え方の可能性を開くような謎や疑問に遭遇し、その機会を一緒に探そうとするので、好奇心を抱くことになります。

4. 協力し合うアプローチを受け入れる

Harrisonさんは、クリエイティブな分野で活躍する人々を研究する中で、適切な条件下では好奇心が伝染することを発見しました。

ダンサーの場合、私がいつも驚かされるのは、彼らがお互いの踊りを見ていて、誰かがミスをしても「いや、それは正しいやり方ではない」とは言わないことです。

それどころか、お互いに指導し合っていました。

「ああ、あれは面白いね。みんなでそれをやったらどうなるだろう。ちょっと遊んでみようか」という感じでした。

そんなふうに試してみることで、彼らはより幅広い可能性を見出すことができたのです。

5. 「アドバイスの罠」にはまらないようにする

自分の好奇心を満たすために質問をしたり、もっと学ぼうとしているうちに、人の話を聞くより、アドバイスをしたくなってしまうことがあります。

Stanierさんはこれを 「アドバイスの罠」と呼んでいます。

たとえば、チームメンバーがより良いパフォーマンスを発揮するために必要なことを知るために、チームメンバーに対する好奇心を高めようとしているとしましょう。

そのためには、正しい質問をすることが大切です(Stanierさんは自著の中で7つの重要な質問を挙げています)。

しかし、チームのメンバーと関わっていると、彼らが質問してくる理由を探るよりも、こちらがアドバイスしたくなるような質問をされることがあります。

「私が過去2年間してきたことですが、私の答えを言う代わりに、『あなたにとってここでの本当の課題は何ですか?あなたは何を考えていますか?』と質問をします」とStanierさんは説明しています。

6. 学びを継続して好奇心の幅を広げる

努力すれば、時間をかけて好奇心を高めることができるとKiddさんは言います。

強いて何かを学ぶようにして、それを継続することで、「現在知っていることと知り得ることの間に関係があることを理解し、すでに知っていることに関連する他のことに自然と興味を持つようになります」と言います。

新しいテーマを探求する習慣をつけると、「基本的な背景情報を学ぶことで、物事に取り組みやすくなるというループに入ることができる」とKiddさん。

自分自身の好奇心を刺激して強化する方法を理解することは、仕事をより楽しめるようになることも含めて、他にもいろいろなメリットがあります。

適切な環境とツールを与えられた社員は、自然と好奇心を持ち、仕事に取り組むことができ、パフォーマンスが向上するでしょう。

社員が安心して好奇心を発揮できる環境や文化を構築することは、組織にとっても、そこで働く人々にとってもメリットがあります。