半年前から東京と香川の2拠点生活に挑戦しているスタイリストの細沼ちえさん。東京での暮らしは、仕事にも好きなことにも全力で向き合えるメリハリのある場所だそう。忙しくも日々を心地よく過ごすお気に入りのものに囲まれた東京での暮らしについてお話を伺いました。

スタイリスト 細沼ちえさん PROFILE

会社員として働いたのち、アシスタント経験を経て、2009年に独立。雑誌や広告などで幅広く活躍し、近年はインテリアやプロップのスタイリングなども手がける。昨年夏から東京と香川の2拠点生活にチャレンジ中。

Instagram : @chienuma


素敵な物件との出合いを機に思い切って2拠点生活に挑戦

「東京では仕事に集中して、香川ではシンプルに流れる時間を楽しむ暮らしをしています。東京にいるとどうしても頭の中が忙しくなってしまう。(東京の)いいところではあるのですが、情報過多で常にいろいろと考えてしまって、仕事のことも含めいつも頭がフル回転。一方で香川に来ると自然が近いからか頭の中がスーッと静かになります。ああ、これを求めていたんだなって(笑)」

東京と香川。それぞれの部屋に共通しているのは、空間自体が魅力的で光がたっぷり差し込む気持ちがいい場所であること。好きなものに囲まれて仕事に邁進する東京での暮らしと、なにも置かずに空間そのものと流れる時間を楽しむ香川での日々。2拠点生活のチャレンジは始まったばかりです。

好きなものに囲まれた東京のリビング

好きなものに囲まれた東京のリビング

光が気持ちよく差し込む大きな窓と無垢の床が気に入って決めた東京の部屋。「気持ちのいい部屋と出合いたかったので、条件を絞りすぎずに探しました」と細沼さん。チュニジアで出合ったラグやドバイの空港で見つけたラクダのオブジェなど、旅先で出合ったものと友人・知人から譲り受けたものを上手にミックスして、好きなものに囲まれた居心地のいい空間ができあがりました。

お気に入りを並べた窓下のワンコーナー
お気に入りを並べた窓下のワンコーナー
窓の高さとバランスがいいワイン箱を並べて写真集やアートブックなどを収納。 窓辺には旅先で出合ったオブジェなどが素敵に飾られています。 直接置くのではなく、木片や布などを使ってリズムをつけて飾るのが細沼さん流。

自作した棚には自然と集まった好きなものをとことん飾る

前の家で使っていたボードを利用してキッチンとベッドルームの仕切り兼飾り棚をDIYしたり、クローゼットの棚板として使っていたものをリビングのローテーブルにリメイクしたりと家具を捨てるのではなく、引っ越し先でも上手に活かした空間づくりに細沼さんの人柄とセンスが感じられます。お気に入りのものに囲まれた自分らしい空間だからこそ東京での忙しい日々も心地よく過ごせます。

自作した棚には自然と集まった好きなものをとことん飾る

前の家で使っていたボードを再利用してDIYで作った飾り棚。アクセサリーやお香など、日々使うものは手に取りやすい高さに配置。カメラや黒いフレームなど、黒っぽいものは目線より下に。

友人や知人から譲り受けた素敵なモノが多い細沼さんのお部屋
友人や知人から譲り受けた素敵なモノが多い細沼さんのお部屋。椅子の上の作品は惜しまれつつ閉店した香川の「まいまい亭」で出合ったもの。
照明は福岡のショップ「ライトイヤーズ」のモアライト
照明は福岡のショップ「ライトイヤーズ」のモアライト。溶岩を組み合わせた照明で、ひとつとして同じものはない。「数ある中から色みと石のバランスが気に入って選びました」

日が差し込む気持ちのいいベッドルーム

日が差し込む気持ちのいいベッドルーム
べッド横のライトは稲熊家具製作所のもの

グリーンは日当たりのいい窓際ですくすく成長中。植物はオザキフラワーパークで買い求めることが多いそう。ベッド横のライトは稲熊家具製作所のもの。ライトは1点モノで土台部分が1点ずつ違うので、好みの形を調べる楽しさがあります。

気に入ったものは額装してインテリアに

気に入ったものは額装してインテリアに

「作家の浅井万貴子さんのオブジェを購入したときに、作品を包んでもらった包み紙がとても素敵だったので、額装して飾っています」。配管にもランダムにステッカーを貼ってワンポイントに。



photograph:Shinpei Kato(KAGAWA)、Masanori Kaneshita(TOKYO) text:Aya Kuribayashi

リンネル2024年3月号より
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