20歳までの活動期限のもと、歌にダンスにアクロバットと、花を咲かせるべく日々奮闘する少女歌劇団ミモザーヌ。実はそんな彼女たちは、総合プロデューサー・広井王子のもと「英才教育」を受けているんだとか・・・「日記提出」に「香り探し」、「課題本」に「大学入学」まで!?

そんなミモザーヌの知られざる謎を探るため、広井&メンバーを訪ね、話を訊くと・・・表に立つ芸能人、また一人前の「やまとなでしこ」になるためのヒントが隠されていた。

取材・文/Lmaga.jp 写真/Ayami

■ メンバーにとって「広井王子」とは、何者?

──今日はみなさんに対談していただきたいと思ってやってきました。「第2のパパ」とも称される広井さんとメンバー(ちばひなの※1期生16歳/みやはらにこ※2期生14歳/さかもとりるは※3期生16歳)に、ざっくばらんにいろいろお聞きできたらと思っております。

広井「誰がパパなんて言ってんの。もっと脚長おじさんとか・・・かっこいいのにしてよ」

一同「(笑)」

──広井さんはメンバーにとって、総合演出であり師匠といったところですが、改めてどういった存在ですか?

ひなの「私の個性を見つけてくれた人だと思っています。ミモザーヌに入るまでは、ダンスが特別うまいわけでもなく、自信がなかったのですが、笑顔が魅力的って言ってもらえたりして、自分に自信が持てるようになったので感謝しています」

にこ「王子さんは居場所をくれた人です。私は歌劇団に入る前からミュージカルとかに出演させてもらうことが多かったんですけど、得意としているアクロバットを活かせる場所がなかなかなくて。自分の個性、特技、自分が持つものを生かせてうれしいです」

りるは「私は広井さんは怖い人だっていうイメージがあって。オーディションで目の前にいて、怖い人なのかな、叱られちゃうのかなと怯えていたのですが、厳しいときもあるけど、いいところはちゃんと伝えてくれるっていうところが、広井さんはやさしい人だなと思っています」

広井「ひなの(ちば)は、もっともっと頑張ってドラマとかにも行ってほしいし、にこ(みやはら)はミモザーヌのカラーを作ってくれる秘密兵器、りるは(さかもと)はいつのまにか優等生になってて、最近スイッチが入ってきたね。みんなには期待してますよ」

りるは「泣けてきちゃいます」

■ 備えあれば憂いなし、「ネタ帳」は欠かさず

──さっそく本題に入っていきたいのですが、ミモザーヌには独特なルールが存在するんだとか。毎日の「日記」を提出していると伺ったのですが。

ひなの「毎日朝・昼・晩食べたものや、やったことを書いて広井さんに見ていただいています」

広井「レッスンメニューとか反省とかも全部書いてもらっていて、2〜3カ月に1回見るようにしている。それを1人ひとりに『よくできました』とか『ここわかってるのになんでやってないの?』とか書いて、かえしてます」

──毎日!ほかにはなにか「私たちならでは」なものがあったりしますか?

りるは「レッスン後に必ずミーティングをしたり・・・」

広井「ネタ帳書いてるね」

一同「(口々に)書いてます(笑)」

ひなの「おもしろい出来事があったら、それをトークレッスンや広井さんに話したいなと思ってメモしてます」

──それって、関西の子ならではじゃないですか?

広井「現場で急に『おもしろい話ない?』って聞かれたりするんですよ。そのときに言えるか言えないか勝負。常にやってないと出てこない」

──私も書こうかな。

りるは「あとはミモザーヌには課題本があって、毎年、読書感想文を提出しています」

広井「入ってくると必ず『果てしない物語』※(ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる、児童向けファンタジー小説)から入るんです。あの長いのを読めるかどうか、読んだってことが評価です。現実と後世の話で、(話の筋は)虚構だけど、話のなかにはもうひとりの自分が出てくる。これは、この子たちが、学校行ってる自分とここにいる自分、ふたつやらなきゃいけないということに繋がっているんです。

──なるほど、かなり渋めなチョイスだったのですが、そういった狙いがあったんですね。

広井「ふたつの自分を持つというのはすごく勉強になるんです。それに彼女たち自信の物語も「果てしない物語」ですよね。表紙では、蛇が自分自身を噛んでいるでしょ、芸能っていうのは自分で自分を噛みにいくんですよ、ぐるぐる回って終わらない。死ぬまでそれをやっていかないといけないけど、その覚悟はありますか?っていうメッセージ」

ひなの「ミモザーヌに入るまでは小説なんて全然読んだことがなかったんですが、小説のおもしろさを知って、実際に『こういのを読んだ方がいいよ』って本を紹介してもらったりして、自分で買ったりしてます。小説にふれる機会が増えました」

──しっかり影響されてますね。

広井「学生時代に読んでおいた方がいい本はいっぱいある、大人になったら読まないから。今回直木賞をとった『地図と拳』(小川哲)もすごくイイ本だったし、あれを読めるようになってほしい。そうしておくと、台本を読んだときの考え方も違ってくるからね」

■ デパートで「自分の匂い」を探す?

広井「あと変わったのでいうと、自分の匂いを探してきてって言うね」

──自分の匂い・・・ですか?

広井「デパートの香水売り場に行って、自分の好きなフレグランスを探しなさいって。感性を磨くのにすごく大事なんですよ。自分が分かってくる。女優さんになるんだったら、自分を分かった女優さんにならないと」

──芸の前に、女性としてのステップも踏ませてもらえるんですね。

広井「舞台女優は、側を通るといい匂いがするでしょ、必ず自分の匂いをつけてますよね。そういうことも含めて、高校生くらいから勉強していかないと。女性としての美しさ、芯の強さを兼ね備えて欲しいし、(世間から)『これぞやまとなでしこ!やっぱ日本の女かっこいいよな』と、なってほしい」

ひなの「やまとなでしこ・・・」

広井「だからエンタメ業界にいかなくても一流になってほしいという思いはあって。自分で会社を作ってもいいし、海外に行ってもいいし、だから勉強は絶対してって言ってるし、できれば全員大学行ってほしいって思ってる。今のところみんな行ってるよね」

一同「(口々に)はい」

広井「まさに文武両道。男女関係なく日本を支えていかなければ」

──だそうです。でもやっぱり、平日は学校、土日に芸能活動という日々は両立が難しいのでは?

ひなの「最初の1年は、学校にいてもずっとミモザーヌのことばかり考えてたんですけど、最近は切り替えができるようになってきて。学校いるときは学校、自主練するときは自主練、本読んでるときは本と、そこは成長を感じます」

広井「そんなルーティンが大事で。映画2本同時に入ったりしたら、大変だから」

──それが今はミモザーヌと学校の2本立てでやってますもんね。

にこ「私は学校の成績もオール5取りたいって思ってしまうので、テストの点も高くなかったら落ち込んでしまって芸能活動と勉強の両立が難しくなってしまうのですが、今後はしっかり頑張っていきたいです」

広井「しっかり切り替える。学校の勉強っていうのは、この子に何が向いているかを判断するための材料だから。自分の方向を探すための学校で、得意なことがある方が将来イキイキできるから。そういうのを、このくらいのうちにわかった方がいい」

──いろんなルールについてお聞きしてきましたが、「ミモザーヌに入って修行し直したい」きっとそう思っている大人はどこかにいると思います。私もそうですし。

広井「ハハハ、これからももっともっと自由に羽ばたいて、勢いのある子たちが出てこられるように、頑張っていきますよ!」

現在、少女歌劇団ミモザーヌは5期生を募集中。募集要項など詳細は公式サイトにて。