1950年代から70年代にかけて活躍し、81年以降は隠遁生活を送ったニューヨークの写真家、ソール・ライター(1923〜2013)。2006年にドイツの出版社「シュタイデル社」から発行された写真集を機に劇的なカムバックを果たした彼の個展が、3月28日まで「美術館「えき」KYOTO」(京都市下京区)でおこなわれている。

彼の写真には、日常を撮ったものと、ファッション誌の仕事で撮影したものの2パターンがある。またモノクロとカラーがあるのだが、雑誌や広告ではなく、作品としてカラー写真を発表したのはきわめて先駆的だ。カラー写真の味わい深い色合い、モノクロとカラーに共通する大胆な構図など、見どころは尽きない。
 
実は、ソール・ライターの回顧展は2017年にもおこなわれている。なので今展を「前に見た」と敬遠する人がいるかもしれない。しかし、それは大きな間違いだ。企画の佐藤正子氏は「彼の作品はソール・ライター財団により現在も調査・整理の真っ最中。今展には最新の成果が反映されています」と話す。

ほぼ日本初公開となる作品で構成された今展だが、特に後半はソール・ライターが描いた絵画や、よき理解者だった妹デボラと約40年にわたり公私のパートナーだったソームズの写真で構成されるなど、プライベートを掘り下げた内容で、今展の大きな特徴となっている。

ほかにもコンタクト・シートの展示やカラー作品のスライド・プロジェクションなど見どころが多く、写真ファンなら決して見逃せない。また今展とあわせて、ドキュメンタリー映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』が、「京都シネマ」(京都市下京区)にて上映される(3月5日〜11日)。「美術館「えき」KYOTO」での個展は3月28日まで、料金は一般1000円。

取材・文/小吹隆文(美術ライター)