神戸の中心地・三宮で42年間親しまれてきた「神戸市立三宮図書館」(神戸市中央区)。地元の人々だけでなく、移動中のサラリーマンらの憩いの場所として愛されていたが、6月30日の夜9時をもって閉館となる。移転を前に、館長をつとめる西田さんに話を訊いた。

■ 42年前から「市民の本棚」

JR三ノ宮駅から徒歩3分というアクセス抜群な場所にある同館。開館時は「市民のみなさんの本棚ができました」とパンフレットに書き、利用する人々が本と過ごすより良い時間を過ごせるようにと「自習スペース」を減らしたり、読書に没頭できるような空間づくりにも力を入れていたんだそう。

「42年前に出来たときは、また今とは時代が違うが・・・最先端の図書館だったのではないかと思う。今でこそネットが普及した便利な時代になっているけど、当時はそういったものが無かったから、本を手に取れば最新の情報にアクセスできるという貴重な存在だった」と、開館当時を語る西田さん。

駅からのアクセスが抜群ということで、地元民にはもちろん、会社勤めで同エリアに毎日訪れる人々が昼休憩や仕事終わりに利用するケースが多く、「そこがほかの図書館とは違った」と神戸・三宮の土地ならではの色があったそうだ。

■移転後も、人生のプラスになれば

6月30日に閉館し、JR三ノ宮駅から徒歩20分にある「デザイン・クリエイティブセンター神戸KIITO」(神戸市中央区)に移転。7月26日に新生図書館としてオープンする。「KIITO」は昨今アート・カルチャー界でも注目を集めるスポットのひとつで、「旧生糸検査場」をリノベーションした先鋭的な施設。広々とした空間を生かしカフェやアート展示、ダンスの公演など多岐にわたる活動がおこなわれている。

「KIITOならではの挑戦ができればいいなと考えています。駅から徒歩3分という所から、徒歩20分の場所になってしまうので、よく使って下さっていた方には『遠いよ〜』などの声もいただきますが・・・ほかの図書館がしていないチャレンジで『三宮の図書館、いつもおもしろいことしてる』なんて思ってもらえるといいですね」と、西田さんは新たな地にかける思いを話す。

そして、「移転しても、本と利用者が出合うきっかけ作りに、変わらず努力を努めたいと思っています」と期待を込めた。

■SNSでは移転を惜しむ声も「寂しくなるな」

だが、新たな場所でのスタートが待っているとはいえ、42年間その地にあったものが無くなってしまうというのは、やはり寂しいもの。SNSでは「最後に行ってきた、レトロな雰囲気が好きだったのにな」「とても便利だったから、よく使わせてもらってた」「いつ行っても人がたくさんいた」「思い出の場所がまたひとつ無くなってしまった」など、移転を惜しむコメントが綴られている。

利用客のなかには、これまで使ってきた図書館を思い出のアルバムの一部にしたいと、「写真を撮ってもいいですか?」と聞いてきた年配の方もおられたそう。取材に伺った際も、読書スペースは思い思いの時間を過ごす人々で埋まり、最後のひとときを堪能しているようだった。

「神戸市立図書館」は、6月30日の夜9時をもって閉館。そして新たに「KIITO」の2階に、2026年工事完成予定の「雲井通5丁目地区再開発ビル」に移転するまでの間、仮移転として生まれ変わる。オープンは7月26日朝10時の予定。